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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
147/149

147、自力で覚えて貰おう

沖田の魂の移動に3ヶ月かかった。

その間、沖田が空腹を訴えることは無かった。始姐の食事は全て弁当。毎日僕が作り、毎日お届けしていた。

3ヶ月後、今まで沖田のボンドガールの口から気泡が漏れて“ゴボッ”と漏れた。

それからさらに3ヶ月立って始めて魂の移動が完了した。

元々有った沖田の身体は、魂の移動が完了して3日後に消えたよ。


動ける様になる為に歩行訓練をしてまともに動けるようになって3ヶ月。


咳も出ない。吐血も無い。

健康な肉体を手に入れた沖田は、今まで寝ていたのを取り戻すように道場に来るようになった。

始姐が「無理をしちゃ行けないよ」と言っているが何処吹く風状態。


「大丈夫ですかね?沖田」

「そのうち電池が切れて倒れるよ」

始姐が言った後にドタバタと廊下を走って来る足音。


「シロエ!総司が倒れた!!」

歳三の慌てた口振りに始姐と僕は顔を見合わせ、椅子から腰を上げた。

「だから言ったのに“無理はするな”と………。で、沖田はどんな様子なの?」

始姐は歳三と一緒に歩きながら道場に向かう。僕も後を追って着いていく。


「姐さん。兄さん」

靴を脱いで道場に入って来た始姐、ジェラルド、歳三を見て斎藤が言う。


「急に倒れたんです。」

「ふむ。」

沖田の側に座り、身体をさわる。

熱い。

「熱だな。多分、疲れから来る発熱だな。特に咳も吐血もしてないのだろ?」

「はい。咳も吐血も有りませんでした」

「床に寝ていた分を取り戻そうとしてちゃんと休息をちゃんと取らないから強制的に身体が熱を出して休ませようとしている。1週間で良くなると思うよ。今日は稽古はお休み。沖田をベッドに寝かせたら、お茶をしよう。沖田は後3時間位は寝てると思う」


丞におんぶされた沖田は家に連れて帰りベッドに寝かせた。

おでこに冷たいタオルを乗せて部屋を出た。


「お帰り丞。緑茶でいいですか?」

「はい。ありがとうございます」

ジェラルドに伝えて丞は、始姐、歳三、斎藤がいる席に向かう。

「山崎、総司はどうだ?」

「眠っています。ぐっすりと。後1時間したら見に行く予定です」

「悪いな」

「いえ」

「緑茶です。」

始姐と僕は紅茶。歳三、斎藤、丞には緑茶。茶菓子にどら焼きをテーブルの上に置く。


暖炉の薪がパチリと割れて僕は、薪を追加する。

「お茶のお代わりは有りますから」

僕は席に戻ると今日の夕飯は何にしょうかと考える。

「今日は一段と寒くなるのでシチューはどうですか?」

「いいね」

「カレーは?」

「捨てがたいけどシチューにしよう、歳三。我が家の料理人のジェラルドが言うんだからさ、それとも私が作ろうか?」


始姐の言葉に歳三、斎藤、丞は青い顔をして首を横に降った。


初めからそうしとけば良かったのです。


「体調が良くなれば、沖田も丞も冒険者登録しよう」

「冒険者登録…ですか?それはどんな処何ですか?」

「「冒険をするところ」」

始姐とジェラルドが簡単に説明をするが、今一伝わってない。

「ギルドで発行してもらうカードでいろんな処に行けて、摩訶不思議な建物でそこにはいろんな人がいっぱいいる。」


うん。歳三も説明が下手だ。


「簡単に言うと身分証明書を発行してくれる処だよ。誰もが持っている物をもらいに行くみたいな?」

何故疑問系何だ?始姐


「稀人は持ってないからね。」

当たり前です。持っていたら怖いです。

「沖田も共通語を覚えてもらわないと。直接脳にお願いしてもいいけど間違って廃人になってしまうのは良くない。」


さらりととんでもない事を口にする始姐。


「「「は、廃人!!」」」

「うん」

何でもない事の様に話す始姐は、紅茶を飲みながら歳三、斎藤、丞の叫び声に返事をした。

「優しく教える事は出来ないのですか?」

「力の調節が上手くないのだよ。手加減が出来ないのだから自力で覚えてもらわないと………。」

「「「うん。廃人は良くない、総司には大変だけど覚えて貰おう」」」

歳三、斎藤、丞が力強く頷いた。

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