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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
142/149

142、ワクワク

無言が続く中、斎藤が有ることに気が付いた。自分達以外に人がいることに

「姐さん」

「ん?どうした?サイ。」

「サイ?。……他の人がいます。」

「そりゃいるだろうね。ここは結界内じゃないし、気を付けてサイは美人で美女なんだからさ」

始姐が何でもない様に笑う。


「病人に餓鬼に美女かぁ。」

「だったら美女だな。売る処によればいい金になる。餓鬼と病人は足手まとい」


山賊だろうか、野人が斧や錆びた剣や刃こぼれのひどい剣を持って取り囲む様に近付いて来る。


「何か用?」

「餓鬼や病人には用は無い!」

混紡を振り下ろして()()()頭に傷を付ける始姐。

『姐さん!』

焦った声を上げる斎藤に身体が動かない沖田。

頭を抱えてうずくまる形を取る始姐は黙って成り行きを聞いていた。

「美女の姉ちゃん。俺達の相手をしてくれないか?」

鳩尾に拳が入り斎藤の世界は暗転した。


「行ったか?」

「な、何で斎藤を見捨てた!!」

「見捨てて無いよ。掃除の依頼が有ってね。斎藤を使えば来ると思ったんだが、こうも簡単に引っ掛かってくれると有りがたいわ!」

不適な笑みを浮かべる始姐は、沖田の胸に手をかざして呪文を言った。

「■■■■■■」

「何を?」

「今だけ新撰組にいた時と同じ様に動ける。まぁ時間は短いが…さて、斎藤の元に行くか?」

「歩いて行くのですか?」

「まさか」

沖田の手を握ると“パチン”と指を鳴らして姿を消した。



◇◇◇



「姉ちゃん、仏頂面は良くないぜ?美人が台無しだぜ?」

ゲラゲラ笑う野人に対して始姐は上空で男の話を聞いていた。

「酌ぐらいしろよ?」

ゲラゲラ笑う男の頭上に始姐と沖田が着地して地べたに頭を打ち付ける。

「待った~?」

軽い口調だが、何処か怒りを感じさせる。

「汚ならしい手で触れて気色悪いです。」

苦虫を潰した様に言う斎藤を見てカラカラと笑う始姐だけど目は笑ってなかった。

「はい。これ、斎藤の刀。この刀でうっぷんを晴らして来てよ………ここにいる者はみ~んな切り捨て良し!皆殺しにしろ」

始姐の声に走り出す斎藤と沖田。


「このくそ餓鬼~!!俺を怒らせたらどうなるのか分かっているのか!!」

顔を真っ赤にして男が吠える。

「どうなるんだ?」

ワクワクして聞く始姐はマスケット銃を展開して大男の右肩を狙いを定めて引き金を引いた。


放たれる弾丸。

木霊する音。

大男には何が起こったのか分からなかった。

ただ、右肩が砕け血が腕を伝わって流れる。


「なっ!何をした?!」

「次は左肩~」

放たれる弾丸。

木霊する音に付け加えて男の野太い声が上がり大男は膝をついた。

その光景を見ていた始姐の口元がこうを描く。


悪魔の笑顔だと思ったのだろうか?男は尻餅をついた。

後退りをする男の目に映る始姐の姿は、善悪も無いただ不適な笑みを浮かべ無慈悲に命を借りとるだけだろう。

銃声が止んだ後は、大男は恐怖に顔を歪め血の海に沈んでいた。



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