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始姐様と僕  作者: 橘莉湖
141/149

141、魚釣り

今日は、始姐が部屋に籠ってます。

ジャカジャカと何かの機械的の音がします。

「何をしているんだ、シロエは?」

「いつもの思いつきです。そのうち出て来ますよ。僕は始姐にお茶を持って行きます。」

始姐の部屋からポーポーと鳩時計が鳴っている。

「う~ん、スクロールと同じでうまくいかないな~」

椅子に座っていた始姐は、立ち上がり部屋の扉を開けた。

「ジェラルド、どうしたの?」

「お茶をお持ち致しました。」

ちらりと部屋を見る。

床には紙がいくつも落ちている。


うん。また掃除しないといけませんね。大量の紙が散らかってます。掃除のしがいが有ります。

「斎藤と沖田を連れて釣りに行ってくる」

僕に始姐は言うとお茶を飲んで姿を消しました。


「沖田~、起きた?久しぶりに釣りに行くぞ。今日は斎藤も一緒で歳三とジェラルドは留守番だ」

「貴女は?」

「シロエ」

「姐さん」

「斎藤!釣りに行くぞ!沖田もたまには動かないと」

そう言うと沖田を担ぎ上げ斎藤の手を握って姿を消した。


転移の魔法ですね。こういう時は、早い始姐です。

さて窓を開けて布団の天日干しとシーツを洗わないと

「折角始姐が作ってくれた時間です。歳三も丞も手伝って下さい。」

遠くから「えー」っと声が聞こえますが、無視です。強制です。



◇◇◇



「ここは川魚が豊富でね~」

なんて言いながら苔に足を滑らせて川に尻餅をつく始姐の姿に笑う沖田と斎藤だった。

「笑う元気があるなら良かった。これは魚の餌を針に付けてあとは、ひたすら待つ」

小さな餌箱から針に付けて糸をたらす。

「当たりが無いです」

「直ぐには来ないよー。気長、気長に待ってよ~」


「・・・なぁシロエさん。僕は後どれぐらい持つ?」

「さぁ?」

「はぐらさないで!」

黙って見てた斎藤は声をかけられずにいた。

「自分がもう長く無いのは分かってる!」

「あのまま、あの世界にいたら半年は持たない。歳三が“助けて欲しい”って言ったから助ける事にした。それに・・・」

「「?」」

「沖田、竿が引いてる!」

話は途中で切れた。

(近藤と沖田と天秤にかけて、沖田を選んだなんて言えないだろう。まっ、気が向いたら近藤や山南の事も考えるが、多分無いだろうな。興味も無い。)

体力の無い沖田が力一杯に竿を引くが魚に持ってかれて足を滑らせて始姐、沖田、斎藤は川に尻餅を付いて、大笑い。

そこからは水の掛け合いで3人はびしょ濡れになりながら魚を取っていた。


焚き火をして魚を焼いてる始姐と沖田と斎藤は揺らめく炎を見ていた。

会話が無い。ジェラルドがいれば何らかの会話があっただろう。

だけどここには、ジェラルドがいない。

「魚が焼けたよ。斎藤も沖田も食べて」

一口食べると苔の味がする川魚。

身もふっくらしてる。

「近藤さんはこちらに来ないのですか?」

「予定は無いね」

斎藤は黙って聞いてる。

「何故、僕何ですか?」

「何故とは?」

「近藤さんでも良かったのに何で僕なのですか?」

「たまたまだよ。早く食べないと焦げるよ」

小さい一口で魚の身を食べる沖田の頬に一筋の涙が流れた。

「美味しいだろ?もっと食べて、じゃないと食べちゃうぞ?」


焼いた魚を食べて腹がいっぱいになって少しの休憩後、魚釣りを始めた。

だけど笑い声は無かった。



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