127、沖田総司を見つけた。
マリリンモロルーとユキ、ゼウスが始姐の屋敷に集まり、助け出した稀人を庭におく。
ストーブで温かいスープを作りながら始姐の浄化魔法をかけていった。
アイテムボックスから大量のからだ拭きを出して、封を開けて中から温かい使い捨て紙タオルを取り出して、歳三に渡す。
泥まみれの顔をからだ拭きで拭いてやる。
身体は痩せ細り、はっきり言って刀を振るう事は出来ないだろう。その腕の細さじゃ。
そんな事を思いながら歳三と斎藤は顔を拭く。
泥がなくなり、元の顔が出て来てきて、
「総司!!」
「沖田!!」
と言った。
そう、稀人は新撰組の1番隊長の沖田総司。
彼は最後の方は黒猫を切ろうとして亡くなった。
今、彼は、死ぬ何ヵ月前に歳三と斎藤が見た姿だ。
「へぇー。この方が沖田総司ですか。………筋肉あまりありませんね」
病気だから。
労咳だから。
床に寝ていたから。
筋肉おちゃったのよ?
「彼奴が本当の沖田総司なのか?」
「ああ。総司だ」
「俺達の仲間です」
「沖田総司は、労咳で亡くなったんだ。享年27歳と言う若さで」
「なんで健康の時じゃないんだ?」
歳三が、何で病気になる前じゃないんだと聞いて、始姐は一言
「わかんない」
と言った。
「わかんないって姐さん」
呆れる斎藤にジェラルドがスープが入った器を差し出し、話を強制的に止める。
「あ、ありがとう………じゃなくて、わかってて当然でしょう?」
「斎藤一。」
「なんですか?」
「パンもあります。食べませんか?」
「いりません」
「イライラしていると、サクッと始姐に殺されちゃいますよ」
ジェラルドの声が変わり、本当に殺されると思い斎藤は黙る。
「始姐は、稀人には、優しいだけど、ただ優しいだけじゃない。価値がみいだせない者は容赦なく切り捨てるよ。貴方達新撰組が池田屋に押し入る時に言った言葉、そのものが返って来るよ。ああ、こう言っていたね『刃向かうもの切り捨てよし』って、始姐はそんなの関係なしに切り捨てるよ。それが、沖田総司だろうが、土方歳三だろうが、斎藤一だろうが、関係ないよ。」
ゴクリと生唾を飲み込む歳三、斎藤はチラリと始姐を見た。
硬い黒パンを食い契り咀嚼してミネストローネを食べる。
「始姐。スープのおかわりはまだあります。」
始姐の顔がパァァァと明るくなり取っ手付きのスープの器をジェラルドに渡す。
並々によそうスープに始姐は嬉しそうな顔をしてジェラルドから渡されたお盆を持ち、自分の席に着くと食事を始める。
外はチラホラ雪が降って来ている。
「雪が降る前に見つけてくれてありがとう、シロエ。」
歳三が頭を下げて始姐にお礼を言う。
そんな事一度も言われたことがない始姐は顔を真っ赤にして照れてモソモソと黒パンを食べていた。
えっ!。始姐が顔を真っ赤にして照れてる。
僕もまたにしか見れないのに。
でも、明日は、大雪ですね(笑)
………始姐が、僕をおいて何処にも行きませんように………
………いつまでも一緒に笑って暮らせますように………