115、僕達の為にも来てくれ
枯れた。
始姐のフルーツタルトを埋めた処の植物が、枯れた。
どんな物を俺達に食べさせようとしていたんだ?
「おかしいな?」
「どうしたんだ?姐さん。」
「うーん。実は、この前に使った果物は、ここじゃない処で手に入れたんだが、魔境で。ジェラルドがここに埋めたと言っていたが、何処に埋めたか知ってる?」
「探してどうするのですか?」
「え?だって魔境からもらって来たんだよ」
「魔境?」
「そ。」
「それをどうするのですか?」
「育てる」
「育ててどうするのですか?」
「切って、煮込む?」
「「・・・」」
始姐の後ろでジェラルドと歳三が腕を使ってバツを表示してる。
だいたい魔境って何ぞや!
そんな処に知り合いおったか?
「煮込んで食べるのですか?」
「そ。4人で。」
「よ、4人?」
「そ。私、ジェラルド、歳三、斎藤の4人」
にっこり笑顔で言う始姐。
(俺達を入れないで下さい!!)
顔が青くなる斎藤。
みるみる変わる顔色に始姐が、ポケットからのど喉飴を出す。
「飴ちゃん食べる?」
普通、差し出す飴は、甘いミルク味なのに、何故のど飴?。
「「・・・」」
「あ、ありがとうございます。」
受け取る斎藤に
うん。うん。と頷く始姐。
のど飴で正解って顔をしている。
ちなみにのど飴は、有名な龍○散。
たまに、昆布飴を食べてる始姐。
「出汁の味がする」と言いながら口の中でコロコロと飴を転がす。
「良かったですね」
「良かったな斎藤」
「何が?」
「始姐の手作りでは有りません。ちゃんと店で買ったよ」
「ああ。そうか」
(助かったなのか?取り敢えずは)
「山崎が来ないかな?」
「副長?」
「そしたらシロエの事を見てもらえる」
新撰組の山崎丞。
彼は、監察の達人。
始姐の料理を作らない様に誘導してくれる・・・と思う3人は、頷き合う。
熱望する。
・・・が、簡単に問屋が卸してくれない。
「処で今日のおやつは何かな?。そう。そう。メイドでも雇おうと思うがどうしようか?」
「「「メイド?」」」
「そ。」
ジェラルドがゴホンと咳をして、始姐の肩に手を置いて、視線を合わせる。
「こんな辺鄙な処に来る物好きは、そうそういませんよ。それどころか、新撰組の山崎丞を連れて来た方が特です。」
うん。うん。と腕を組んで頷く歳三と斎藤。
((誘導成功か?))
と顔に出さず始姐とジェラルドを見てる歳三と斎藤。
「歳三と斎藤はどう思う?」
突然に話を振られ歳三と斎藤は、ビクリと肩を揺らして上擦った声で答える。
「山崎は凄いぞ!。なぁ、斎藤」
「はい。副長。山崎丞は凄い方です。姐さん。」
なんせ監察の達人。
「鬼ごっこ何て面白いかも知れませんよ?」
「おおっ!!鬼ごっこか!」
(((食いついた!)))
「私が鬼で、ジェラルドと歳三と斎藤は逃げて。ああ、駄目だ。鬼ごっこしてるとご飯が作れなくなる。うーんどうしよう?」
腕を組んでうーん、うーんと唸る始姐。
「シロエ。その時こそ、山崎丞だ。あいつは新撰組で監察の達人だ。近藤さんにも気に入られていた」
「ふーん。近藤は、どうでもいいわ。山崎丞か。私と遊んでくれるかな?」
「「勿論!!」」
掴みはok。
近藤に興味が無い始姐。
そんな些細な事は隅に置いといて、山崎丞を連れてきて欲しいと説明する歳三と斎藤だった