109、来た
「こちら、斎藤一ちゃん。皆、斎藤か、一っての呼んで」
始姐が一を紹介する。
新しい女性の身体で髪を1束で結び、袴を穿いた姿で腰に1本の剣を差している。
「ジェラルドです。こんな所で立ち話も何ですのでテーブルの方に行きませんか?」
ジェラルドが案内して歳三が座るテーブルに移動した。
テーブルに頬杖を付いてる歳三の隣にジェラルドが座り、対面に斎藤と始姐が座った。
外を見ている歳三に声を掛ける斎藤。
「お久しぶりです、副長。」
「?」
歳三が見た事が無いのか誰だが分からない顔をしている。
「斎藤一ちゃんだよ」
「斎藤か?斎藤なのか?」
頷く斎藤。
新撰組の三番組長が来たのだ
嬉しさ余り、懐かしい話しをする歳三と一は始姐とジェラルドな事を忘れて話に花を咲かせた。
ふと、気が付いてシロエとジェラルドの方を見る。
「すまない、話には花を咲かせた。処でシロエ。山崎丞は来ないのか?」
「ん?山崎丞って監察など変装をして敵地に侵入するのを得意とする人だったか?」
頷く、歳三と一。
「ん~。今は時空も次元も安定しているから来ないよ。」
「「そうか。」」
がっかりする2人
「監察に得意な人だから偵察に良いかと」
「その前に、その山崎丞は料理は出来るのですか?」
ジェラルドが真面目な顔をして聞いてくる。
「俺も屯所内で作っていたからある程度は作れる。」
「女の子は、「俺」とは言わないで「私」と言って下さい。」
ジェラルドに注意される斎藤。
71年間「俺」で来たので今さら変えるのは、難しい。
紅茶と緑茶と茶菓子を持って来たジェラルド。
見た事が無い菓子がいっぱいある。
どら焼き、クッキー、ビスケット、ほんのり・・・がっつりな濃さの緑茶を顔色変えず飲み干す斎藤。
ある意味強者だ。
「斎藤。」
「何ですか、副長?」
「濃くないか?」
「濃いです。でも出された物ですから」
「歳三は、吐きましたよ。」
ジェラルドが笑いながら言い、斎藤一をまじまじと見て、頷き「ガッツが有るな」と呟いた。
ジェラルド!?
もしかして、もしかすると、シロエの料理の実験台にするつもりか!?
そうなのか?
ジェラルドは歳三を見て微笑んだ。