107、ハンバーガー
始姐の料理事件から一週間が過ぎた。
今日は研究室にある斎藤一の状態を確認する日だ。
今日は歳三も来てる。
新しい未知の部屋に来る為顔が、強張ってる。
「そんなに緊張するもんじゃないよ?。ただのご対面だよ?」
始姐は、サクサクと研究室の奥に行く。僕達は、後に続いた。
円柱の中に目を閉じている女性の口からゴボッと空気が溢れた。
「生きてるのか?」
「生きてるよ。この水槽の中で大人の身体を作って行く。280日で生まれる。」
「そうか」
呟く歳三は水槽の女性を見ていた。これが斎藤一の新しい身体になるのか
「男の身体じゃ無いのだな」
「取られちゃったからな」
「そうか?」
思った以上に反応が乏しい。
「ちなみに生殖機能はないから」
始姐は歳三に話す。
斎藤一の身体は7代目のボンドガールをモデルにしてある。でも髪は金髪じゃ無くて黒。勿論瞳も黒だ。
僕達は研究室を後にした。
◇
「今日のお昼は、ハンバーガーです。ポテトか玉ねぎリングは入りますか?」
「ハンバーガー?」
「ハンバーガー!!」
歳三は、「食べ物か?」と顔をして、始姐は喜んだ。
ジェラルドの作るハンバーガーは肉厚で厚く輪切りにしたトマトに濃厚なミートソースにレタスが付く。
「ジェラルドの作るハンバーガーは美味しいんだよ。」
「チーズは入ってませんよ。始姐がチーズが嫌いなので、そのかわりにミートソースが入ってます」
「ちーず?」
想像が付かないか歳三の頭に始姐のピーナッツチョコレート丼を思い出す。
「・・・俺は、やめとく。」
「ダメですよ歳三。歳三の分も有ります。」
笑ってお盆に載せたジェラルドお手製のハンバーガーが出て来て歳三はビックリした。
「これは?」
「ジェラルドお手製のハンバーガーです。ミートソースを添えてと玉ねぎリングと紅茶です」
「・・・ミートソースって赤い色をしているんだ。シロエが作ったミートソースは深緑色をしていた」
「始姐と違いますよ歳三。」
「始姐と一緒にするな!」と目で訴えかける。
「さ、召し上がれ。」
ジェラルドの声と共に始まる食事。初めて食べるハンバーガーは美味しくて玉ねぎリングも残さず食べきった。
歳三は、また作ってくれと言っていた。
「旨い。今度は、ハンバーガーに挑戦してみようかな?」
恐ろしい事を言う始姐に、ジェラルドは慌てて作らなくていいと言う。何故なら始姐が作ったパンはガチガチに硬い石のようなパンだ。スープに浸しないと食べれない。しかも作ったコーンスープは、色がまともだけど味と匂いが最悪だった。もし、防虫剤が有るならこんな感じかな?と思う程の匂いにゲロる程の味だった。
始姐本人は、旨いと言っている。味覚がヤバいと再確認をする。
結局、ジェラルドと歳三は、その日は断食をした。
えっ?その不味い料理は?
勿論ゼウスの胃袋に入ったよ。
その後1ヶ月は姿を見せなかった。
次に会ったのはげっそりと痩せていたよ。
何が有ったんだろ~?(笑)