105、酒盛り
始姐の研究室に入った僕。
抜き足、差し足、忍び足。
・・・違います。
堂々とズカズカと入って行きました。始姐に「研究室に行きたいな~、斎藤一はどうですか?」って聞いたら、「いいよ~♪。見においでん」と軽く回答貰いました。
いいんですか?。
研究室は大事な書類が有るのでは?
と思っていて、いざ入ると大きな円柱の水槽に頭を下にして女体が沈められていました。
「呼吸は大丈夫なのですか?」
「大丈夫。これは疑似の羊水見たいな物だから」
軽く、しれっと言いますが、大丈夫ですか?そんなにあっさりと答えて?
僕の心配をよそに始姐は、「簡単に造れないから大丈夫」と・・・
何でも出来てしまう始姐。
それでは街の人々から「異端者」と呼ばれますよ。
直してくれとは言いません。
今のままでいてください。
水槽の中でも成長している女性。水槽から出て来るまでに262日目に出て来る。
女性の妊娠期間と同じそうです。
そうしないと身体の弱い子が生まれます。
歳三にはまだこの研究室の事は言ってません。びっくりさせるつもりでしょう。
研究室から出て、扉を閉めるとただの扉だけになり、僕が触っても研究室に行くことは出来ませんでした。
僕と始姐は家に向かいます。
今日のお昼は、ふっくら鶏唐揚げです。
歳三のリクエストに答えます。
「麦酒と鶏唐揚げが合う~♪」と言って昼から酒盛りです。
歳三さん。あんた下戸じゃ無かったのですか?。
稀人として来た時に体質変わったのかな?
「始姐、歳三さん下戸でしたよね?」
「嗜める程度じゃない?。まぁ、酒が飲めるならいいんじゃない?私もジェラルドも酒豪だから」
「僕はザルですが、始姐はワクですよ♪」
「麦酒は苦手なんだよ。皆、喉で飲む。と言うが今だに分からん」
「歳三も喉で飲むと言ってましたが、僕も麦酒は好きでは有りません。どちらかと言うと梅酒の方が好きです。」
「そう言えば、ゼウスが梅の実を見つけたって言ったから今度、取りに行って梅酒を作ろう」
「いいですね!」
僕達は家の中に入り、歳三のリクエストにキッチンに行き、料理を作る。
ソファーに座る歳三を見て始姐が笑いながら言った。
「もう酒盛りか?」
「違う。酒が俺を呼んでいる」
言い訳で有る。
「今日は、鶏の唐揚げだ。良かったな」
「おお、唐揚げか!!。楽しみだ~」
マグカップに注いである麦酒を飲んだ。
麦酒ならガラスのコップだけど始姐の家にはガラスのコップは一つもない。有るのはマグカップだけ。始姐曰く、「飲み物が飲めればいいんだよ」との事。
始姐は、2階の倉庫の扉を開けて中から濁酒と日本酒を出して1階に戻り歳三がいるテーブルの上に置いた。
「濁酒と日本酒だな」
ジェラルドが大量の唐揚げをテーブルの上に置いて始姐と自分のマグカップを持って来た。
「今日は酒盛りだ~!!」
始姐のかけ声で始まる酒盛り
どんどん無くなる酒と唐揚げが減っていく。
「新選組で誰が酒豪だったんだ?」
「えーと、永倉新八~」
そんな話をしながらどんちゃん騒ぎは歳三とジェラルドがつぶれるまで続いた。