22.共和国の最後
二年後、リベルタ共和国の名前は地図から消滅した。
国内の不満を晴らすためか、それとも起死回生を狙っての行動かは分からないが何故かグランデン帝国に戦争を吹っ掛けてきた。
滅ぼしたのだ。
共和国人の末路は悲惨の一言に尽きた。
自分達の王家を滅ぼした民。しかも、その思想を他国に巻き散らかしていたのだ。相当の恨みを買っていた。共和国を滅ぼしたのは帝国であったが、その帝国に少なからず協力した国は数多い。かの国々の要求は占領統治の利権を得る為であった。利権と言っても他国の目的は「共和国人の掃除」だ。そのせいで、共和国人の人口は恐ろしいまでに減った。自業自得とはいえ彼らの末路は帝国人からさえ同情される程だった。
「そう言えば例の大使どうなったんだ?」
「帝国にいた元侯爵子息のことか?」
「ああ。あの男、テレサに執拗に付きまとっていたからな」
「なら、安心するといい。大使は戦争犯罪者として処刑されている」
「確か帝国に亡命したんじゃなかったか?」
「ああ。昔馴染みの伝手を頼ってな」
「それが、また何で?」
「あの大使、いや、元大使は無駄に有名だったらしい」
「え!?そうなの?」
「なんでも異母兄が革命の英雄的存在だったらしく、元大使がその兄の後を継いで革命家になっていたようだ。『祖国を憂う美しき兄弟』というプロパガンダが仇となったな。今では兄弟そろって憎しみの対象だ。飢える民衆のために立ち上がり人生を革命に捧げたんだ。その民衆たちの望みで公開処刑になったんだ。彼も本望だろう」
「それはまた……元共和国人は切り替えが早いことで……」
「お陰で帝国は爆弾を一つ抱えること無く旧共和国の占領統治に着手できると言う訳だ」
「他のいらない連中と一緒に処分できたし良かったな」
こうして共和国は完全に滅亡した。




