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1.出会い

 コムーネ王国の言葉「」

 リベルタ王国の言葉『』



「ま~~無防備に寝ちゃって」


 泣きつかれて眠っている元王妃の寝顔は正に眼福だ。

 赤い目尻から涙のしずくが頬を伝わり、唇も少しだけ開いているのでちょっとだけ艶めかしい表情になっている。

 こんな姿を拝めるなんて私は幸せ者だね。きっと日頃の行いが良いからだろう。

 

「何の夢を見ているんだろう」


 ガラガラ……ガタン。


 揺れる馬車の中で、男と二人っきりだと言うのにこの無防備さ。起きたら一度叱る必要があるな。彼女とは長い付き合いだ。私は目に前で熟睡するテレサの顔を見つめると、ポケットに入れていた小箱を取り出した。

 幼馴染とでも言うべきか、それとも戦友と言うべきか……私達の関係は必然だった。


 出会ったのは15歳の春。

 父に連れられてやってきた最北端の修道院に彼女は居た――

 



 

「いでぇぇぇぇぇぇ!!」


『悪ガキが! 王女殿下の部屋と知っていての狼藉か!』


『ライラ、何事です? 悲鳴が今……』


『王太后陛下、このコソ泥が王女殿下の部屋に侵入を……「おい!離しやがれ!」……口の聞き方も知らないのか?』


 ギリギリッ!


「痛えっ!!」


「修道院には身元の確かな者しか入れないはず……見ない顔だ。今日はコムーネ王国の者達が来ていたはず。その者達の身内か?お前、何の目的でここに侵入した? 彼女が目的か?」


「はっ!? 冗談きついぜ! そんな鳥ガラのガキに興味なんかねぇ! 娼館どころか人買いすらスルーされるのがオチだぜ! はははははっ」


 ドカッ!バキッ!ドゴォォォォォ!!!!


 薄れゆく記憶の中で女騎士が俺を蔑んだ目で見ていやがった。

 

 冗談きついぜ。

 娯楽も何もない退屈な場所で暇つぶしに散策したらこのザマか……よ。


 




「自業自得だ! 馬鹿め!!」


 目が覚めたらいきなり親父に拳骨を食らい、説教が始まった。


「うるせぇ! 実の息子がズタボロにされたんだぞ? 相手に抗議しろ、クソオヤジ!」


「何が抗議だ。そもそもお前が賊のような真似事するのが悪い! 寧ろ、命があるだけ有難いと思え!」


「なんでだよ!? 過剰防衛だろう! 見ろよ、骨折れてんだぜ?」


「当然の報いだ。あのお方に狼藉を働いたと聞いた時は心臓が止まるかと思ったぞ……」


「はっ!?」


「なにを呆けている。お前が勝手に部屋に押しいったのだろう!」


「ちげぇ!」


「じゃあ、なんだ?」


「道に迷っちまってドアが開いてたから入っただけだ」


「~~~っ……ばかものっ!!!」


 その日、親父の拳骨を三発食らった。

 怪我人の息子にする対応じゃあねぇぞ!?



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