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こうして僕は万引き犯になった  作者: 逆無寛彦
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「中学生時代」

「中学生時代」

 小学生の頃は塾に通わされていたが、あまりにやる気がないので塾の講師から「お前は何しにここに来てるんだ?」と叱られた事があったが、「本当は来たくないけど親が行けと言うからイヤだけと来てる」と答えるとそれ以来、放って置かれるようになった。だがそうはいっても塾の多少の効果はあったらしい。とある私立中学の入学試験に合格した。とは言え僕はすっかり勉強嫌いになっており、入学してからは全く勉強しなくなった。テスト時間中もほとんど寝ていた。授業中も同様に寝ていた。特に国語の授業に誘ってくる眠気は凄まじく、僕には抗えるものでは無かった。

 成績はもの凄く低下し、だがそんな事はもうどうでも良かった。

 中学生活で最も辛かったのは人間関係である。一緒に登下校したり、カードゲームで遊んだりしていた仲の良かった友達と酷い喧嘩をした。教師を介して一応喧嘩は収まりはしたが・・夜は眠れず、逆に朝から爆睡して揺すっても起きないという睡眠障害に陥り、遠くの病院に入院する事になった(余談だが、まだ彼等と仲が良かった頃に、彼等が下校途中にラーメン屋でラーメンを食べていたのだが、僕は金が無く、メンマだけ恵んで貰った事がある。こんなに旨い物が存在したとは、と当時は驚いた)。

 学校生活での喧嘩が完全に原因だったのか、入院初日から普通に夜に眠れるようになったのだが、しばらく様子を見るという事で数ヶ月間入院した。入院先では院内学級というものがあって、同様に入院している中学生、一年生から三年生が十人近く参加していた。

 僕は私立中学の生徒という事で、普通の一年生の授業を受けても意味がないだろうと言われ(実際は全く勉強していなかったが)、他の皆が授業を受けている中、僕は英和辞典に載っているAから始まる英単語をPCに黙々と記録させられていた。正直、この行為には一体どういう意味があるのかとは思いながらも。

 僕が入院した病棟には院内学級の男子が何人も居て、その内の一人と特に仲良く、親しくなった。彼の両親は勉強には厳しくなかったらしいが、すぐに暴力をふるう両親だったようだ。また、テレビを観るのを僕と同様に厳しく制限されていて、僕が、親が居ない時にコッソリ観ていて、親が帰宅したらあわててテレビの電源を切るのだけど、親がテレビに触って「熱い」と言って結局正座させられたという話をすると、自分もあったあったと言っていた。どうやら虐待児あるあるだったらしい。

 彼の夢は芸能人になって有名になり、その上で両親にされた事をカメラの前で暴露して両親の居場所を日本から無くさせる事だと言っていた。一般人には歪んでいる様に聞こえるかも知れないが、正直、僕は共感できた。むしろ歪んだ環境に在りながら真っ直ぐ普通に育っているという方が不思議だ。


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