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こうして僕は万引き犯になった  作者: 逆無寛彦
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「引き籠もりの籠もりきり」

「引き籠もりの籠もりきり」

 時間は少し遡るが、不登校になってすぐに、不登校になって落ちこぼれになった自分を他人に見られたくないとか、同級生に見られたくないという気持ちから外出する機会が激減し、リビングでも外から見えないようにすぐにカーテンを引くようになった。そして気付けば完全な引き籠もりになっていた。全く外に出られない、重度の外出アレルギーとでも言うべき状態になってしまった。僕が生きている間は日の光を浴びる事は無いだろうと思うぐらいに。同じ漫画を繰り返し読み、食事は自分の分だけ部屋に持っていって一人で食べ、誰かと連絡を取る事も無い日々。

 引き籠もりになって少ししてから、夢みたいな事が突然に起きて事態が好転するんじゃないかと妄想する様になった。その内容は、例えば急に勉強が出来るようになるとか、スポーツが急に出来るようになるとか、何かがきっかけで大金が入ってきたりとかでは無く、今で言う異世界召還とか、不思議パワーに目覚めるとか、そんなオカルトな物だったが、当時は四六時中耽っていた。勿論、次第にそんな都合の良い事あるわけ無いよなと苦難ながらも現実と向き合うようにはなったが。

 そしてある日、世話になった爺ちゃんの訃報を聞かされた。父親の妹さんから留守電で「お爺ちゃんが倒れました」というメッセージが入ってきて、父親が病院に向かったのだが死に目にはあえなかったらしい。身内が亡くなるというのは初めての経験だったから非常に動揺した。ショックだった。しかし恥ずかしい話、昔に僕を保護してくれたりなどの世話になったその爺ちゃんの葬式にも行く事は出来なかった。自宅からどうしても出られなかった。そんな自分が心底、情けなかった。


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