表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

89/337

第87話 謎の魔物の特徴

 謎の水色のゴーレムを倒したアイリス達。今はゴーレムを倒した場所で何かを三人で探している最中だった。


「アイリス、魔石あったか?」

「うーん、こっちにはないみたい」

「キッドの方はどうだ?」

「こっちにもありませんねぇ」


 探していたのは魔物を倒した際に出る魔石だった。しかし、どこを探してもその影も形もなかったのだ。以前のカセドケプル防衛戦の時に戦った『合成魔獣(キマイラ)』はアイリスの光の力で浄化したこともあって魔石すら残さないのはわかっていた。


「魔石どこにもなかったね」

「んー、魔石が出ない魔物って聞いたことないんだよなぁ」

「兄貴の話だと見た目も違うってことでしたもんね」


 一か所に集まって話し合っていたアイリス達だったが、時間が経つにつれて遠くで戦いを見ていた者達がぞろぞろと通りに溢れ始めた。前回と同じように聖女と聖騎士ということで囲まれると大変だと思ったアイリスが二人に声を掛ける。


「二人とも、とりあえずフォルトナ様へ報告に戻りましょうか」

「そうだな。それがいいな」

「囲まれたら大変ですしね」


 アイリス達は通りから細い路地に入り、逗留しているフォルトナの邸宅へ戻ることにした。


「ぴぃ」

「ピィちゃん、大丈夫?」

「ぴぃ……」


 ゴーレムと戦っている最中、ずっと肩に乗っていたピィが悲しそうに鳴いていた。戦いが終わった後はずっと俯いたままだ。心配したアイリスが手を当てるとピィが頬ずりをしてきた。


「どうしたんだろうな、ピィのやつ」

「どこか具合でも悪いんでしょうかね」


 ジークとキッドも心配になったようで歩きながらピィの顔を覗いてくる。


「特に怪我とかはしてないと思うんだけど……」


 アイリスも確認してみるが、怪我をしたような箇所はなかった。とりあえず、ピィの件は後からまた確認することにした。


 フォルトナの邸宅へと戻ると、何やらヒトの出入りが激しくなっていた。その様子をアイリス達が遠目で見ていると、こちらに気付いた門番の衛兵が声を掛けてきた。


「聖女様、聖騎士様、お戻りになられましたか」

「何かあったんですか?」


「はい。そのことについては邸宅の中に居られるフォルトナ様から直接お聞きください」

「わかりました。行ってみますね!」


 衛兵に言われた通り、アイリス達は邸宅の中に入りフォルトナの自室に向かった。その先でも多くの妖精族の身分の高いと思われる者達がひっきりなしに出入りしていた。


 部屋の中に入ると他の者と話をしていたフォルトナがこちらに気付いて声を掛ける。


「聖女様、ご無事で何よりです」


 フォルトナの耳にも先ほどの戦いのことが報告されていたようだ。アイリス達は現状を聞かせてもらうことにした。


「聖女様達が戦った謎の魔物ですが、このティフィクス周辺でも遭遇したということなのです」


「みんなあのゴーレムと戦ったんですか?」


 アイリスが尋ねるとフォルトナは首を横に振り、口を開いた。


「報告では聖女様達が戦った以外に二か所で謎の魔物と遭遇したとのことですが、魔物の種類が違うのです」


「ゴーレム以外の魔物も出たってことか」


 考える素振りをしながらジークが呟く。


「ええ、そうです。他の二か所で遭遇した魔物は赤色で透き通ったようなハウンドウルフだと聞いています。どちらも直接の攻撃が効かず、魔法での対処となったようですが効果がない魔法もあったそうです」


「魔物の特徴はボク達が戦ったゴーレムと一緒みたいですけど、色が違いますね」

「私達が戦ったゴーレムは水色だったものね」

「はい、お嬢の言う通りです」


「その件については報告を受けています。どちらも対処が難しいということで冒険者ギルドにも報告済です」


更にフォルトナが言葉を付け加える。


「先ほど警備担当のテールとも話し合いまして、ティフィクス全体の警備を厳しくしました」


「それが最善だとオレも思います」

「ボクも賛成です」


 戦ったことがあるジークとキッドの表情は真剣だった。それほど今回遭遇した謎の魔物は厄介だということだ。


「皆さんも大変な目にあわれてお疲れでしょう。お部屋で休んでください。何かまた新しい情報が入りましたらお知らせいたしますので」


「ありがとうございます」


 ひとまずアイリス達はフォルトナの言う通り、自分達の部屋で休むことにした。


「ぴぃ……」


 部屋に戻ったアイリスはピィのことが心配で話しかけていた。


「ピィちゃん、どこか痛いの?」


 ピィは首を横に振る。触っても怪我はないようだ。だが、明らかに悲しそうな表情を浮かべている。


「もしかして、あのゴーレムと関係があるのかしら……」


 窓の外を見つめているピィを見ながら、アイリスが呟くのだった。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。評価やブックマークなどをして頂けると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ