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第81話 会食会にて

 妖精族の長フォルトナから詩姫ソレイユを交えての会食の場に招待されたアイリス達。アイリスは聖女をイメージしたドレスに着替え、聖騎士であるジークにエスコートされて会場へと向かうことになった。


「お嬢、そのドレスとっても素敵ですね!」

「ありがとう、キッド。ジークも……手を引いてくれてありがとうね」


「い、いや別にこれくらい聖騎士としては当たり前っていうか当然っていうか、まあ、見習いなんだけどさっ」


 照れた表情を浮かべながらアイリスがジークに言葉をかける。ジークは赤くなる顔を見せまいと顔を背けながら口を開く。両耳はぴこぴこと動いており、尻尾は先ほどからぴんと立っていた。


「兄貴、声が上ずってますよ。しゃんとしてください」

「わ、わかってるよ!」


「私もこんな素敵なドレス着たことないから、とっても緊張しちゃってる」

「アイリスはいつも通り明るくしてろよ。オレ達がついてるからさ」

「そうですよ、お嬢っ」


「ありがとう、二人とも」

「ぴぃぴぃ」


 いい雰囲気を出しながらアイリス達は会食の場へと到着する。扉の前に立つ衛兵が一礼すると扉がゆっくりと開かれた。会場は綺麗な装飾が施され、長いテーブルの奥には族長のフォルトナが腰かけており、妖精族の偉い身分のヒト達が並んで座っていた。


「わぁ、すごい」

「もてなしがすごいな」

「美味しそうな料理も沢山ありますね!」

「ぴぃぴ!」


 会食の広間に進んでいくと大きな声でアイリスを呼ぶ声が聞こえてくる。


「アイリス、こっちこっち!」

「ソレイユ」

「私の隣でいいわよね?」

「うん、それで問題なければいいよ」

「いいですよね、フォルトナ様」


 ソレイユがフォルトナに尋ねると微笑みながら言葉が返ってきた。


「まあ、もうソレイユと仲良くなって頂けたようですね。ええ、もちろんいいですよ」

「やったぁ。聖騎士様もお供の方もアイリスの隣に掛けてくださいね!」


「じゃあ、遠慮なく」

「失礼しますっ」

「ぴぃぴぃ」


 先ほどまでアイリスの肩にとまっていたピィはいつの間にかキッドの肩に移動していた。アイリス達が腰かけると広間の扉が再び開き、昼間会った警備担当のテールと他二人が入室してきてフォルトナの近くの椅子に腰かける。


 面識がない二人も髪の色は違うがフォルトナやテール、カセドケプルで会ったフォードルと似た顔をしていた。


「はじめまして聖女様、聖騎士様。フォルトナの娘の一人、フランメと申します」

「は、はじめまして聖女様、聖騎士様。フォルトナの娘の一人、イシュカです」


 フランメは紅の髪をなびかせ、堂々としている印象を受けた。対するイシュカは水色の髪を結っており、大人しい印象だった。これでフォルトナの四姉妹が揃ったことになる。


「フランメとイシュカには政務などを手伝ってもらっています」


「ご挨拶ありがとうございます。見習い聖女のアイリスです。宜しくお願いします」

「見習い聖騎士のジークです。宜しくお願いします」

「二人のお供のキッドです。そしてこの肩にとまっているのが聖獣のピィです」

「ぴぃぴぃ」


 形式的な挨拶を交わしている最中、ソレイユが口を開く。


「もう、そんな堅苦しい挨拶は止めて会食会を始めましょうよっ」

「ソレイユの言う通りですね。それでは聖女様と聖騎士様を迎える会食会を始めましょうか」


 フォルトナの合図で色々な料理が運ばれてくる。落ち着いた音楽も広間に流れている。


「ねえ、アイリス。試練のお話聞かせてもらったわ。必ず私が祭壇の扉を開けてみせるね!」

「ソレイユが?」


 アイリスが尋ねると胸に手を当てながらソレイユが答える。


「ええ。実は以前からフォルトナ様に頼まれて祭壇の前で精霊達に呼びかけたり、詩を唄っていたの。それが聖女様のためだっていうのはついさっき聞いたんだけどね」


「詩姫の詩には精霊達と交信する力があるのです。ソレイユには精霊達が再び祭壇の扉をあけてくれるように呼びかけることを頼んでいるのです」


「そうだったんですか。私達の為に色々してくださってありがとうございます」


 アイリスが礼をするとソレイユが両手を握りながら口を開く。


「まだ上手くいかないけど、絶対私が扉を開けて見せるね!」

「ありがとう、ソレイユ」

「ふふ、楽しみに待っていてねアイリス」


 二人が会話をしている中、キッドが肩にのっているピィに料理をわけている所だった。だが、いつものようにピィの食が進んでいなかった。


「あれ? ピィさん、食べないんですか?」

「ぴぃ」

「何か途中で食べたんですかねぇ」

「そうかもな」


 ジークもピィの様子がいつもと違うように感じていた。だが、特に体調が悪いわけではないということで話は済んだ。その後も会食会の間、ソレイユはアイリスとの会話を楽しんでいたのだった。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。

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