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第186話 新たな事実

 アイリス達は霧に潜む『謎の存在』がジークをさらえなかったのは『温泉』を飲んでいたからなのではないかという可能性を見出す。その日から聞き込みの内容を変えるという方針に変わったのだった。


「いい? 今回の聞き込みで大事な点はみんな理解したわね?」


「ああ」

「はぁい」

「うん」

「ぴぃ」


 以前の聞き込みの結果などを書き込んだシルヴァナイン周辺の地図を前にしたディーナが他の三人に確認する。ジーク、キッド、アイリスはそれぞれ返事をする。


「それじゃ、以前の時と一緒であたしとキッドの組とアイリスとジークの組で分かれて聞き込みをしましょ。夕方また宿に集合して結果報告ってことで」


「みんな頑張ろうねっ」

「ぴぃぴ」


 二組に分かれた一行は聞き込みをするために街へと出かけて行った。それから、以前とは違った質問を街のヒト達にして周る。二組とも適度に休憩と昼食をとって、午後からも聞き込みの範囲を広げて行動していく。


 気付けばあっという間に夕方の時間に差し掛かっていた。


「それじゃ、キッド。そろそろ切り上げましょうか」

「はぁい。こっちも最後のヒトに答えてもらった所です。お腹もぺこぺこですし」

「夕食の前に報告会なんだから我慢しなさいよ」

「わかってますよぉ」


 一方アイリス、ジーク組。


「どうやらオレ達の考えが当たってる感じするな」

「結構聞き込みをしたもんね」

「それじゃ、そろそろ時間だし宿に戻るか」

「うん。ディーナ達も戻って来てると思うから戻りましょ」

「ぴぃぴぃ」


 二組はそれぞれ聞き込みを切り上げて宿へと集合した。再びディーナの部屋で聞き込みの結果を報告することにした。


「それじゃ、聞き込みの結果をまとめていくわよ」

「まずはボク達の方の結果を報告しますねぇ」


 キッドがディーナと一緒に行動して集めた情報を発表する。


「次はオレ達の方だな」

「私達の方の聞き込みの結果も報告するね」


 ディーナが聞き込みの結果を地図に書き込んでいく。すると新たな事実が浮かび上がってきたのだ。


「私達の考え、当たってる感じがするね」

「そうね。今回の聞き込みの内容がそれを物語ってるわね」

「いい感じですね!」


 皆が口々に言葉にする。椅子に深く座りながら地図を見つめていたジークが口を開く。


「今回の聞き込みで特に大事にした内容。『霧に出くわしたことがあるか、そしてその時温泉を飲んだり温泉に入っていたか』だったよな」


「ええ。以前は魔物が出た場所と霧の出現、そして行方不明のヒトが出た分布図だったけど、今回はジークが今いった通りの内容で聞き込みをしてみたわけよね」


 二人が地図に新たに書き込まれた内容を見つめていた。同じように見ていたキッドが口を開く。


「そしたらやっぱり魔物は出なくても『霧』に遭遇したヒト達は結構な数がいて、しかもそのヒト達は『霧』に囲まれる前に温泉に入っていたり飲料としての温泉を飲んでいたことがわかったわけですよねぇっ」


 次いでアイリスもキッドの話を踏まえて意見を述べる。


「やっぱり霧の中の『謎の存在』に対して『温泉』は意味があるっていうことがわかったわけね。どうして『温泉』が効果があるかは今の時点ではわからないけど、確かに結果として『霧』に遭遇しても無事だったヒトがいたことが何よりの証拠なわけだし」


「ぴぃぴぃっ」


 更にジークが補足するように話を切り出す。


「しかも、無事だったヒト達が『霧』に遭遇した場所は郊外よりも街より。更にそれを一本の線で囲むと以外な事実がわかったわけだよな……あんまり信じたくはないけど」


「でも、事実は事実よ。受け止めなきゃ」


 ディーナが地図を指さしながら指で、引かれた一本の線をなぞって見せる。アイリスが驚きながらも言葉を紡ぐ。


「……族長さんの邸宅がその中心にあるってことよね」

「そういうことになりますね。地図を見れば一目瞭然です」

「こりゃ、確かめる必要がありそうだな」

「次にすることは、それよね」


 アイリスの言葉に続いてキッド、ジーク、ディーナが口を開く。


 その時だ。ディーナの部屋の扉がノックされたのだ。


「私、出るね」

「夕飯の時間にはまだ早いし、呼びにくるようにも頼んでないよな」


 アイリスが扉を開けるとそこにはオニキスの姿があったのだ。


「オニキスさん……?」

「こんな時間に申し訳ありません」

「どうかされたんですか?」


 思いつめたような表情を浮かべているオニキスにアイリスが優しく尋ねる。


「実は……聖女様達に聞いて頂きたいことがあるのです」


 部屋に招かれたオニキスはそこであることを語り出すのだった。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。

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