第176話 聞き込み調査
郊外で魔物に襲われた悪魔族の冒険者の男性を保護しようとしたアイリス達。だが、深い霧と共に男性は行方不明になってしまった。
霧と失踪が関連している可能性を見出したアイリス達は翌日から街のヒト達から情報を聞いて回ることにしたのだった。
朝食を済ませたアイリス達は食堂の片隅の席で話し合いを行っていた。
「昨日寝る時に考えたんだけど、こういう情報ってもう冒険者ギルドのヒト達が聞いてまわってるんじゃないかな?」
「んー確かに昨日の件もあるしな」
「一緒に調べた方がいいんですかねぇ」
アイリスの意見にジークとキッドがそれぞれ反応してみせる。それを見ていたディーナが口を開く。
「こういうことは別の角度から探してみるっていうのもアリだと思うのよね。冒険者ギルドのヒト達を甘く見てるわけじゃないけど。あたし達にはあたし達のやり方ってあると思うのよ」
どうやらディーナは冒険者ギルドの力は借りずに自分達だけで調査を進めたいらしい。鼻をあかしてやりたいという感じも否めないが。
「あえて別行動でオレ達は調べてみるってことか……オレはアイリスがそれでいいなら賛成だな」
「ボクも、お嬢が決めて欲しいです」
皆の視線がアイリスに集まる。
「え、えっと……そうだね。手に入れて進展があればそれを冒険者ギルドのヒト達に共有するってことなら私もそれでいいかな。みんなはどう?」
「そうね。アイリスの言う通り、何か大きな手掛かりがみつかった時は報告してあげましょ。あたしは賛成よ」
「アイリスが良いならオレも乗った」
「ボクも同じ意見ですっ」
「ぴぃぴぃ」
とりあえず今後の動き方の指針は決まったようだ。そうと決まれば一行の行動は早い。食堂を後にして宿の外に出る。アイリスとジーク、キッドとディーナにわかれて街の中で聞き込みをすることにした。
「それじゃ、夕方には宿の食堂で落ち合いましょ」
「わかったわ。それじゃ、またね」
各組、手を振り合って別々の通りに歩いていく。朝から昼間でアイリス達は街のヒト達に霧のこと、行方不明の件を聞いて回った。警戒されないように自分達も冒険者だということで話を通したのだ。
それから数時間たち、お昼を迎えた。
「アイリス、そろそろ昼飯にしようぜ。腹減った」
「そうだね。一旦切り上げて、何か食べようか」
「ぴぃぴ」
「ディーナ、ボクお腹空いて歩けません~」
「もう、仕方ないわね。お昼にしましょうか」
各組、それぞれ近場のお店で腹ごなしをする。その後も聞き込みの範囲を広げていく。気が付くと時刻は夕方に差し掛かっていた。
「もう夕方か、結構あっという間だったな」
「うん。聞き込みで情報もある程度集まったし、宿に戻りましょ」
「そうだな。キッド達も戻って来てるかもしれないしな」
そう言うとアイリス達は今いる通りから宿へと帰ることにした。戻る頃には夕日も沈み、夜の暗がりが街を包み込んでいた。受付を通って、食堂にいくとキッドの声がする。
「お嬢、兄貴ぃ、こっちですよー」
アイリス達は朝と同じテーブルに座っているキッド達と合流した。
「ごめんね、待たせちゃった?」
「そんなことないわ、アイリス。あたし達もさっき戻ってきた所だったから」
ディーナが話しながら手に入れたシルヴァナイン周辺の地図をテーブルの上に広げる。
「それじゃ、聞き込みの結果報告をしようぜ」
「じゃあ、ボク印付けますね」
「おねがい、キッド」
「ぴぃぴぃ」
各組、それぞれが聞き込みで手に入れた霧の発生地点と地図に書き込み、行方不明になったという話と照合させる。するとあることが判明する。
「……これって、そういうことだよな」
「うん、こうするとはっきりするね」
アイリスとジークが地図を見ながら呟く。霧が発生した場所と行方不明になったとみられるヒトの場所がピタリと一致していたのだ。
「街の外と、郊外で霧の発生が多いみたいですねぇ」
「あたし達が歩いてきた山道と昨日の場所も当てはまるわね」
キッドとディーナも地図の印を見ながら口を開く。
「ってことは最初に山道で霧が出た時もあの『何か』はオレ達の傍にいたってことか」
「ほら、やっぱりボクの言う通りだったじゃないですかぁ」
「悪かったって」
キッドがあの時感じたことを話題に出す。ジークは頭を撫でながら謝っていた。
「実はあの時も行く不明になったヒトがいるのよね。ちょうど風車小屋の点検で街を出ていたヒトなんだけど」
ディーナが手に入れた情報を元に、山道の中間地点。最初にアイリス達が通ってきた順路にある風車小屋に印をつけながら口を開く。
「それじゃ、あの時も行方不明になったヒトがいたってことね」
「こりゃ、霧の発生とヒトが消えるっていうのには関連性がありそうだな」
多くの印がついた地図を見ながら四人の話し合いは続くのだった。
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