表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

156/337

第154話 特訓の意味

 試練を無事に突破したアイリス達はシャルとカルから夕食の誘いを受ける。それまでの時間でアイリスとジークにいい雰囲気が流れていたが元気いっぱいのキッドがそれを中断させる一幕もあった。


 問題なのは夕食後の席でシャルが口にした言葉だった。


「ヴィクトリオンに私達が来たときには『力の試練』は終わってたってどういう意味なんですか?」


「ぴぃぴぃ?」


 アイリスはシャルに尋ねる。


「言葉通りの意味さ、アイリスちゃん。本来、獅子族が先代聖女であるアーニャ様と交わした『力の試練』の内容は『今代の聖女の力が獅子族の目から見て合格か否か』というモノだったのさぁ」


 次いでカルが口を開く。


「そうだね。従来の試練の内容であれば、報告で聞いていたカセドケプル攻防戦での活躍とティフィクスでの戦いの二つの事実と功績で十分『力の試練』は合格だったんだよね」


 話を聞いていたディーナが眉間にしわを寄せながら口を開く。


「なによそれ。それじゃ、どうしてあんな試練をあたし達に受けさせたのよ? わざわざ六使を審判にまで使って」


「何か理由があるんですかね?」


 キッドも疑問に思って呟く。ジークだけは何か思い当たるふしがあるような素振りでシャル達の話をじっと聞いていた。


「ジークにはわかるんじゃないのかなぁ?」


「ジーク、本当?」


 笑みを浮かべながらシャルが口を開く。アイリスもジークを見ながら呟いた。


「ああ、何となくだけど予想はつくよ。シャルさん達はアイリス以外のオレやキッド、ディーナの実力を測りたかったんだと思う。そして足りないようであれば強化をするっていう感じだったんだろ?」


「ははは、さすが狼族の族長の息子さん……いや流石は聖騎士だね。その通りさ」


 ジークの言葉を受けて、シャルは嬉しそうにしなやかに尻尾を左右に揺らしてみせる。二人のやりとりを含めて再度アイリスが尋ねる。


「あの、理由を聞いてもいいですか?」


「ああ、いいよ。アイリスちゃん。すべては『厄災の使徒』とこの先キミ達が戦うために必要なことだったからだよ」


 笑みを浮かべていた先ほどまでとは一転してシャルが真剣な表情を浮かべながら口を開いた。カルも続く。


「ボクも従来の約束の通りの試練をするんだと思っていたら、兄さんから試練の内容を変更するっていう連絡が来て驚いたんだよね。でもその意図を聞いたら協力する気になったんだ」


「つまり、『厄災の使徒』との戦いのためにあえてジークをぎったぎたにすることであたし達に危機感を持たせてしごいて特訓させたってわけね?」


「あはは……キツイ言い方だなぁ。でもディーナさんの言っていることで大体合っているよ」


 理解は出来るが納得はすんなりは出来ないというような表情でディーナがカルに言葉をかける。押され気味にカルが答える。


「この試練の変更を考えたのはカセドケプルでアイリスちゃん達が『厄災の使徒』と戦ったっていうことを聞いた時から考えていたことなんだよね」


「そんなに前からですか?」

「ぴぃぴ?」


「うん。報告を聞いた限りでは『厄災の使徒』という存在は今のこの世界の情勢的にも大きく問題視されているからね。ティフィクスでの一件も背後には『厄災の使徒』が絡んでいたっていうのも大きいんだよね」


アイリスに答える形でシャルが言葉を返す。さらにシャルの言葉は続く。


「冒険者ギルドのみんなも協力して、今も奴の動向を探ってはいるけどなかなか尻尾を出さない。でもきっと一度戦ってその脅威を認識しているアイリスちゃん達はこの旅を続ける中で再び、相まみえる時があると思うんだ。だから、今回の各自の特訓は必要だった。やつの力もきっと次第に大きくなっていくと考えたからね」


「確かに、そうかもしれませんね。私もあのヒトとはまた戦うことになるって思ってましたから」


「その感覚は正しいねぇ。まあ、以上が試練の内容を変更した理由とその意味だったってことでみんな納得してくれるかなぁ?」


 アイリスの話に頷きながらシャルがジーク達にも同意を求める。


「そう聞いたら、納得するしかないよな。現にオレはここで強くなることが出来たわけだし」


「そうね。あたしも連携のところとか指摘されてはっとなったし。結果的にパーティの総合力は高くなったのも事実だし結果も出てる。まあ、納得するわ」


「あの……」


 アイリス、ジーク、ディーナがそれぞれ納得の言葉を口にしている中で、おどおどしながらキッドが自信なさげに手をあげながら呟いた。


「どうしたの、キッド?」


「あの、お嬢。ボクも師匠たちの話には納得してるんですけど……結局ボクに起こったことって何だったのかなって?」


「ああ、確かに! それにさっきも聞いたけどシャルさんの影にカルさんがなってたり、そもそもマルムって名乗ってたりこの事実を知ってるのは獅子族でも一部って話聞いてなかった!」


 思い出したようにジークが声を上げる。


「お二人とも、その説明もしてもらえるんでしょうか?」


 ジークの言葉を聞いたアイリスが真面目な表情で尋ねる。


「多くは語れないけど、一応説明はできるかな」


 言葉を濁してはいるが、シャルは誠実な瞳を向けながら口を開くのだった。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。評価やブックマークなどをして頂けると、嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ