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第149話 激突する力

 いよいよ始まった力の試練、後半戦。最初の攻撃はシャルとカルによる連携攻撃だったが、ジーク達はこれに対応し仕切り直す形になった。今度はこちらから仕掛ける番である。


「よっし、オレ達も負けてられないぜ!」

「今度はこっちの番ですね!」


 ジークとキッドが目を合わせて頷く。


「大丈夫かな、二人とも」


 アイリスが心配そうな表情で呟くと隣いるディーナが声を掛ける。


「大丈夫よ、アイリス。連携の練習の時にいざという時のためにジークとキッド、二人で息を合わせる練習もしていたから」


「そうだったんだ」

「ぴぃぴぃ」


「……」


 ディーナの言葉で安心したアイリスが再びジーク達に目を向ける。隣にいたジークの兄弟子のヴァルムは黙って戦況を見守っていた。


「行かせてもらいます! アースクエイク!!」


 キッドが詠唱を完了させ右手に持つ剣を地面に突き立てると、その地点からシャル達に向けて地面に亀裂が走る。二人はそれを左右に跳躍して回避する。


「ここ!」


 キッドが魔法を繰り出したのと同じタイミングでジークが高く跳躍していた。いっきに下降した勢いで身体を捻りながら技をシャルに向かって放つ。


「『狼咬斬(ウルフバイト)』!!」


 シャルは回避した瞬間に身体を回転させて体制を立て直し、直剣を構えてジークの剣技を迎撃するための技を放つ。


「『獅子一閃(ししいっせん)』!!」


ガキィィィィン!!


 水平に直剣を構えた状態で放った剣技とジークの剣技が激突する。凄まじい剣戟が響き渡る。技の威力は同等のように見えた。すると今度は回避を終えたカルがシャルと剣を交えているジークの横から技を放つ。


「『獅子連脚(ししれんきゃく)』!!」

「させません!! シールドチャージ!!」


ガン!! ガガン!!


 カルの攻撃はジークと同じタイミングで接近してきたキッドの重い盾に防がれる。カルは目の前に現れた大盾を蹴り上げて距離をとる。


「流石に隙は潰してくるってことだね。それにしてもキッドくんも重装備なのに素早い。相当の力持ちだね」


「ふふ、オレの弟子は面白いだろ?」


「本当にねっ」


「双子でおしゃべりとは、余裕じゃんか!」


ギィィィン!!


 相殺されてジークとカルの剣が弾かれる。


「余裕ってわけじゃないさぁ。つい熱くなりそうになるんだよ」

「兄さんじゃないけど、ボクも同じかな」


「はっ、オレ達はとっくに熱くなってるっての!」

「身体中、ぽっかぽかです!」


「若いなぁ」

「兄さん、ボク達だってまだ二十歳だよ」


 お互いが言葉を交わす。


「それじゃ、オレ達も『本気』で臨むとしようかなぁ」

「やる気だね、兄さん」

「もちろんだとも」


 次の瞬間、シャルとカルの雰囲気が変わるのがジークとキッド双方が感じ取っていた。ぞくっという悪寒が二人を襲う。


 シャルとカルのしっぽがぴんと伸び、瞳が光を帯びていた。瞳孔も細くなっているのがわかる。ジーク達は何が起きたのか、すぐに理解した。


「……『心眼』か。やっぱりオレとの決闘の時は使ってなかったってことか」

「師匠の『心眼』……初めてみますね」


 獅子族の族長は『心眼』の使い手、というのは以前から知っていたことだ。いつもはキッドが『心眼』を発現させて一緒に戦っているが、戦う相手側が『心眼』を使ってくるのは初めてのことだ。


「こりゃ……一筋縄じゃ越えられない感じがひしひし伝わってくるぜ」


 相手が放つ気迫にジークの毛が逆立っている。


「臨むところです! それも分かった上でボク達は戦いを挑んだんですから!」

「お、言うじゃんキッド! じゃあ、行くぜ!」

「はい、兄貴!」


 ジークとキッド、二人が気合を入れ直す。


「ジーク、キッド……頑張って!」

「ぴぃぴぃ!」


 アイリスも戦いを見守りながら呟く。


「いいね、オレ達のこの姿を前にしても臆せずに戦意が高まってるねぇ」

「ボクも本気で行くから二人とも覚悟してね」


『心眼』を発現させたシャルとカルの本当の力が示されようとしていた。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。

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