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第120話 砦までの道中

 泉で出会ったスカーと名乗るお面を被った獅子族の青年と共にアイリスとジークはディーナ達とちょうど合流した所だった。事情はアイリスが説明してくれた。


「で、その怪しいヒトを連れて来ちゃったわけね」


「うん。まあ、見た目は確かに怪しいかもしれないけど悪いヒトには見えなかったから」


「アイリスがそう言うなら確かに信じてもいいかもね。あなたのヒトを見る目はあたしも信頼してるけど……うん、怪しいわね」


「ぴぃぴ」


 ディーナがスカ―の足元から頭の先までを見ながら口を開く。軽く笑いながらスカ―が言葉を返す。


「ディーナってもしかして妖精族の詩姫ディーナ?」


「ええ、そうよ」


 スカ―はお面越しだがとても嬉しそうに両手を合わせながら言葉を掛ける。


「ボク、ファンなんだよね。あとでサイン貰ってもいいかな? あ、それか後でデートでもしながらゆっくりお話っていうのも悪くないよね」


「さらっと自然に誘ってる辺り、慣れてるわね」


 目を細めながらディーナが言葉を返す。その反応を受けてもスカ―は軽い調子で笑っていた。それを見ていたキッドが呟く。


「……スカ―さんって師匠みたいですね」


「ん? 師匠って?」


「そういえば確かにマルムさんに雰囲気似てるかもしれないな。掴みどころがないところとか」


 ジークの言葉を聞いたスカ―の耳と尻尾が大きく動く。驚いた声で呟く。


「マルムってもしかして、カセドケプルの鍛冶師のマルムのこと?」


「ああ、そうだけど」


「うわぁ……マルムを知ってるなんて余程、聖女様達は通なんだね。でも、そう言われてみれば、キミ達の得物は良いモノだよね。なるほど、彼の作品ってわけか」


 ジークとキッド達の武器を見ながら彼が納得した声を出す。途中でキッドと目線があった。


「そしてキミがマルムの弟子ってわけかぁ……ん?」

「? ボクの顔に何かついてますか?」

「……あ、いやぁ、小さいけど勇ましい顔つきだなって思ってさ」

「えへへ、褒められちゃいました」

「キッド、一応注意しておきなさいよ? このヒト口が上手いから」


 そんな感じで話が一段落着いた頃を見計らってアイリスが口を開く。


「というわけで、スカ―さんにヴィクトリオンまでの案内を頼むことにしたの」

「オレもアイリスがそう言うから賛成したさ」


 渋々、賛成したと言わんばかりの態度をジークが取る。それを見てディーナも言葉を返す。


「なるほどね。実際、ヴィクトリオンまでは道も入り組んでるし案内人がいると助かるしね」

「みんながそれで良いならボクも賛成です」

「ぴぃぴぃ」


 アイリスの肩に戻ったピィも快い鳴き声をあげる。


「それじゃ、案内するからついて来てね」


 スカ―の後にジークが付き、キッド、ディーナ、アイリスの順番で一行は歩き出す。スカ―の案内は適格で、高地に近づいているがそこまで起伏が激しくない所を選んで通っているのがジークには感じとれていた。余程、この辺りに詳しいのだろう。


「ここからは段差とか、岩場が多くなるから気を付けてね」

「スカ―さん、ありがとうございます」


「いやいや、聖女様達を案内できるなんて獅子族の一員としては自慢出来ることだしね。気にしないで。あ、あとでお茶でもどう?」


「えっと……」

「アイリス、真に受けなくていいからな」

「う、うん。わかってる」


 ジークが睨みを効かせて声を掛ける。


「つれないなぁ」


 つまらなそうな仕草をしながらスカ―が一行を先導していく。彼の言う通り、進んでいくと大きな段差や岩場が多くみられるようになってきた。


「みんなお疲れ様。ここまでくればヴィクトリオンはもうすぐ見えてくるよ」


 アイリスが振り返るとある程度高い所まで登ってきているのがわかった。皆が立ち止まっているスカ―の近くまでくると目の前には山岳地帯の真ん中にそびえ立つ砦の数々が広がっていた。ヒトも多く見られ、あちこちから生活のものと思われる煙が上がっている。


「ようこそ、『獅子の砦ヴィクトリオン』へ」


 スカ―が明るい調子の声を上げながら振り返り、両手を広げる。アイリス達も壮大な景観に思わず声を漏らしていた。


「相変わらずすごいわね。ティフィクスの景観もすごいけど、天然の要塞って感じがするもの」


「うわぁ、すごい数の建物が密集してますね」


「このルートで来たのはオレも初めてだけど、やっぱりすごいな」


「スカ―さん、案内してくれてありがとうございます。助かりました」

「ぴぃぴぃ」


「いやいや、元々はボクの失態だしね。みんな無事に連れて来れて良かった」


 笑ってみせるスカ―を見ながらジークが考えを巡らせていた。その理由としてはここまで魔物に一匹も遭遇していなかったからだ。沢山ある順路から魔物に会わないように歩いてきたのかと思うと、只者ではない気がしていた。


「さあ、関所までもうすぐだよ。行こうか」


 こうして不思議な人物スカ―の案内によってアイリス達は無事にヴィクトリオンに到着することが出来たのだった。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。

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