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第116話 次の目的地

 巡礼の旅の一行にディーナが加わり、アイリス達は次の試練を受ける為の目的地を相談することになった。


「次の目的地についてなんだけど、何処がいいかな?」


 荷物の準備がだいたい終わった所で、テーブルに掛けながらアイリスが話を切り出す。他の三人がそれぞれ反応を返してくる。


「ボクは疎いので、他のヒトの提案に任せてついていきたいと思います!」

「んー……そうだなぁ」


 キッドは仕方ないとして、ジークの答えにはディーナが疑問を持ったようだ。


「何よ、ジーク。はっきりしないわね」

「な、なんだよ急に噛みついてきて」


 ふん、と腕を前で組みながらディーナが言葉を続ける。


「このティフィクスから次に近いのは『獅子の砦ヴィクトリオン』か『狼の庭ウルフォード』の二つしかないでしょうが。『魔の谷シルヴァナイン』は此処からだと山脈を越えないといけないから迂回ルートでその二つのどっちかになるってジークならわかると思うけど」


「う……」


「ディーナ、詳しいのね」


「あたしは詩姫のコンサートで各地を回ったこともあるからね。……で、この流れだとジークの故郷であるウルフォードがいいんじゃないの? アイリスから聞いたけど、ここまでの旅の最中に手紙とか出してないらしいじゃない?」


 バツの悪そうな表情をジークが浮かべる。まさか、もうディーナとそんな話を共有しているとは思っていなかったらしい。


「そう……だけど、オレはウルフォードに行くのは反対だな」


「ジーク、どうして?」


 アイリスが聞くとジークの顔が曇る。


「今は……帰りたくないんだ」

「ふぅん、お父さんがそんなに怖いのぉ?」

「……」

「何よ、いつも元気なのに急に黙らないでよ……やりづらいじゃない」


 いつも元気で少し生意気なジークがしおらしくなってるので、話をふっかけたディーナも焦り始める。


「いいよ、私は。ジークが今は帰りたくないなら、今はヴィクトリオンに行きましょ。そのほうがいいと思うの」


「アイリス……悪いな、迷惑かけて」


「ううん。ジークにだって言いにくいこともあるかなって思ったから」


「ま、まあ、あたしも少し言い過ぎたかもしれないわね」


「ディーナは一言多いですもんね」


「あら、キッドには言われたくないわね」


 アイリスの言葉のおかげで場の雰囲気が少し良くなった感じがした。更にアイリスが言葉を続ける。


「ヴィクトリオンに向かうとすると、ウルフォードにはどういう順番で立ち寄ることになるか、ディーナわかる?」


「えっと、ヴィクトリオンに行くとするとそこから北上してシルヴァナイン、その後にウルフォードって所かしら。『竜の聖域ドラゴマルク』が最後になるわね」


 アイリスは笑顔を浮かべながらジークに声を掛ける


「ジーク、そのルートで旅を続けるけどいい?」


「ああ、わかった。それで構わない」


「じゃあ、決まりね。フォルトナ様にも伝えておきましょう」


 こうして一行の次の目的地が決まったのだった。その後、その話をフォルトナ達に説明し数日後旅立つ時がやってきた。


「聖女様、聖騎士様、またティフィクスにおいで下さいね。ソレイユ達とお待ちしております。巡礼の旅が無事に続くことをお祈りしております」


「フォルトナ様、ありがとうございます」

「ぴぃぴぴぃ」


 ディーナにもらった可愛いローブを羽織ったアイリスがきちんとお礼を言う。肩に乗っているピィも元気に鳴いていた。


「みんな、元気でね。また会いましょうね。旅先でも噂になるくらい、私詩姫として頑張るから。ディーナも旅を終えたらまた一緒に唄おうね」


「ええ、ソレイユ。あたしも今よりもっと綺麗で素敵に磨いてくるから待っていてね。あと……お母さん、姉さん達やイシュカにも宜しく言っておいてね」


「ええ、わかっていますよディーナ。いってらっしゃい」


「はい、行ってきます!」


 ディーナがとびきりの笑顔で二人に声を掛ける。


「それじゃ、兄貴行きましょうか」

「ああ、そうだな。荷物持ち、頼むぜキッド」

「任せてください」


 アイリスはあの後、ジークのことが少し心配になっていたがいつものジークに戻っていたので安堵していた。何か悩みがあるなら、この旅の間に相談して欲しいとも考えていた。


「それじゃ、みんな行きましょうか」

「ええ、行きましょ!」

「ああ、行こうぜ」

「皆で楽しく、行きましょ~!」

「ぴぃ!」


 フォルトナ達に別れを告げ、一行はティフィクスを出発した。目指すは二つ目の試練が待つ獅子族の領域『獅子の砦ヴィクトリオン』である。


数ある作品の中から本作を読んで頂きありがごうございます。

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