第109話 フォルトナの邸宅にて
エレメンタル・キマイラを倒して無事にソレイユを助け出すことに成功したアイリス達はフォルトナの邸宅に帰還したのだった。
「フォルトナ様、ソレイユの容態はどうですか?」
「大丈夫ですよ、ディーナ。聖女様のお力のおかげで、少しずつ顔色も良くなっています。今は疲れからか眠っているでしょうが、明日には目を覚ますはずです」
よかった、と胸を撫でおろすディーナ。
「良かったね、ディーナ」
「ありがとう、アイリス。それにジークやキッド、みんなのおかげよ」
「オレ達は別に大したことしてないぜ」
「ディーナがソレイユさんのことを思って頑張った結果ですよ」
ジークやキッドも笑いながら言葉をかける。
「改めて聖女様達にはこのティフィクスの為に尽力して頂いてありがとうございました。そしてソレイユを助けて頂いたことも重ねてお礼申し上げます」
「いえ、事態の収拾には冒険者ギルドの皆さんのお力添えもあったからです。それに私達は『友達』と『仲間』の為に頑張っただけですから。ね、みんな」
「そうだな。アイリスの言う通りだな」
「はい、ボクもお嬢と同じ気持ちです!」
「ま、まあ、そう言われると照れるわね」
「ぴぃぴぃ」
四人とピィの表情を見てフォルトナが微笑みながら言葉を掛ける。
「ディーナ、あなたは自分を探す旅の中でかげがえのない仲間に巡り合えたようですね。これもきっと大いなる意思の導きなのでしょうね」
「はい、あたしもそう思います。アイリス達に出会えてなかったら、きっとあたしは今の自分になれてなかったと思います」
ディーナは少し子供のような笑顔をフォルトナに見せる。そして、気になっていることを口にすることにした。
「それで、フォルトナ様。今回の事件……それにソレイユの件はどうなるんですか?」
「私達もそれは気になってました」
アイリス達も同じようにその点については気になっていた様子で一行はフォルトナを見つめていた。目を閉じたフォルトナはゆっくりと瞳を開きながら言葉を紡ぐ。
「妖精族として今回の事件のことを話し合った結果、全ての元凶は『厄災の使徒』ということになりました。ソレイユはそれに巻き込まれた、ということで罪に課されることはありません」
「はぁ、よかった」
「ですが、詩姫の座からは退いてもらうことになります。精霊を身近においておけたのは『刻印』の呪いの力によるものであったと聖女様達からの報告もありましたからね」
ディーナは少し哀しげな表情をしていた。そっとアイリスが肩に手を置いてくれた。
「聖女様達には報告会や会議などにもご出席して頂いて、今日はお疲れでしょう。ゆっくり休んで頂ければと思います」
フォルトナの邸宅についてからは、状況の説明や妖精族の上層部のヒト達とも話を交えることになった。夕食を早々と済ませた後に、現在のフォルトナと話をする時間がやっととれたということだ。
「ありがとうございます、フォルトナ様、ご厚意に甘えさせてもらいますね」
「はい。皆さまも今日はお疲れさまでした」
こうしてフォルトナとの話は終わりを迎え、アイリス達はそれぞれの部屋で休むことになった。今回はアイリスの隣の部屋がディーナに用意されていた。
「それじゃ、アイリス。色々話したいこともあるけど、今日はおやすみね」
「うん。おやすみディーナ」
◇◇◇
アイリス達が部屋で眠りに入ったちょうどその頃、フォルトナはソレイユが眠る傍で様子を見ていた。
「……ん」
眠りについていたソレイユが目を覚ましたのだ。フォルトナが優しい声を掛ける。
「ソレイユ、目が覚めたのですね」
「……フォルトナ様……私……」
「聖女様達がここに運んできてくれたのです。治癒の力も施してもらったのでもう大丈夫ですよ」
「そうだったんですね……私、沢山のヒトに迷惑をかけてしまいました」
「そのことは心配しなくて大丈夫です。今は回復に専念するのが先決ですよ」
事の顛末やアイリス達にも説明したソレイユの進退について、その場でフォルトナがソレイユに伝えた。
「フォルトナ様、一つお願いがあるんです」
「なんですか? 出来ることであれば、叶えてあげたいとは思いますが」
「実は……」
それからしばらくの間、ソレイユとフォルトナは何か話をしていたようだ。夜も更けていく。アイリス達も戦いで疲れたようで、次の日の朝までぐっすりと身体を休めるのだった。
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