伝説の勇者
大→大臣
王→王様
城、玉座にて
大「王様、伝説の勇者を連れてまいりました」
王「おお、そうか。で? 勇者は?(首を伸ばしたり、辺りを見回す」
大「こちらでございます(後ろにいた人物を隣に持ってくる仕草)」
王「ゴリラじゃねーか!」
大「いいえ、勇者です」
王「いや、どっからどーみてもゴリラじゃねーか!」
大「いえ、装備をよく見てください。勇者です」
王「服、ピチピチじゃん! 今にもはち切れんばかりだし。しかも全身毛だらけだぞ!?」
大「毛深い勇者です」
王「毛深いって何だよ。そんなレベルじゃねーよ!」
大「ほら王様。きちんと剣も装備してますし」
王「ひしゃげてるぞ! 随分怪力だなぁ!」
大「それにほら、伝説の兜も装備出来てます」
王「乗ってるだけぇ~~(脱力したように)。 しかもそれ宝物庫に有ったやつ~~。 なに勝手に持ち出してんだよ!」
大「えへへ」
王「えへへじゃないよ! 勇者が来て無事試練の塔をクリアしたら渡す段取りだっただろ」
大「いや~、試練とか面倒かなって」
王「そんな簡単に渡していもんじゃないぞ! 先祖代々守って来たんだから」
大「え~~? だって、トラップ仕掛けたり、モンスター配置したり、宝箱の準備とか面倒じゃないですか~」
王「お前が面倒だったのね!?」
大「それになんかあの塔、盗賊団のアジトになってますし」
王「治安!? だったら勇者にその盗賊団を退治させれば良かったじゃないか!」
大「え~ヤダめんどくさい。それに良いじゃないですか、結果勇者が被っているんだし」
王「だから被れてねーよ。頭が大きくて乗ってるだけだろ!」
大「チッ、バレたか(顔だけ後ろを向いて小声で)」
王「おい! 今バレたかとか言わなかったか!?」
大「いいえ、言ってません」
王「もういいよ、本物の勇者はどこだよ」
大「ですからこちらに」
王「(食い気味に)だからゴリラはもういいって!」
大「いえ、このゴリラが勇者を倒したので、もう実質勇者かなって」
王「何だよその理論! やっぱただのゴリラじゃねーか!」
大「え~、でも、だってぇ~(指をもじもじしながらぶりっこっぽく)」
王「気持ち悪いな! ゴリラもドラミングすんな! 剣がぶんぶんってなるだろぉ! ほらぁ、兜も落ちたし」
大「王様は何をそんなカリカリしているんですかぁ?」
王「お前のせいだよ! 一刻も早く魔王を倒して世界の平和を取り戻さなきゃならないのに、お前がゴリラなんか連れてくるから!」
大「あっ、今の言葉、カッチーン来ましたわ」
王「あ?」
大「ゴリラ“なんか”って言いましたね? このゴリラはマウンテンゴリラで、ゴリラの中のゴリラなんですよ。見てください、この見事なシルバーバック」
王「いや、でもただのゴリラだろ」
大「おいゴリラ、う〇こ投げてやれ」
王「わぁー! 待った待った!」
(慌てふためく王様)
王「悪かったって。実はあれだろ? 呪いか何かで勇者がゴリラにされているだけだろ? 確か宝物庫に真実の姿見が有るからそれで呪いは解けるだろ」
大「いえ、ただのゴリラです」
(王様ずっこける)
(大臣の足下にある棺桶に気付く)
王「ところで、その足下の棺桶はなんだ?」
大「ああ、かつて勇者だったものが入ってます」
王「言い方ぁ~! ってか勇者そこに居るんじゃん! 今すぐ生き返らせろよ!」
大「えぇ~? だってゴリラより弱いんですよ~?」
王「ゴリラはもう良いから!」
大「でも、この勇者お金全然持ってませんでしたよ? タダで生き返らせるんですか?」
王「勇者なんだから良いだろ。ほら、お前は元神官だったから復活の呪文が使えるだろ」
大「はいはい、分かりましたよ。フンダラ~ホンダラ~ヘンダラ~ホイ!(棺桶に向かって)」
(棺桶から毛深い人間が登場)
王「ゴリラじゃねーか!」
おしまい




