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ステータスの行方

「最初はは簡単なモンスターと戦って、レベル上げつつ動きに慣れていこうか。私が先に戦って見本になるよ!」


 そういうとアカネは目の前にスポーンしたスライムに向かって剣を構えた。


「まずは相手の動きを覚えることから始めようか」


 アカネはスライムの突進を避けながら言う。


「そして、相手の動きが見切れてきたら… タイミングを見計らって切るっ!」


 スライムの何度目かになる突進をギリギリで避けると、一撃で切り捨てた。


「おぉ~~ すごいかっこいいね! 達人て感じがするよ」

「そうだろうー かっこいいだろー すごいだろー! さぁ、ユイもやってみなさい。ユイも運動神経はいいし、すぐ出来るようになるよ。武器がハルバードだから、少し大げさに避けたほうがいいかもね」

「なるほど、わかった」


 ユイは真剣にアカネのアドバイス聞くと、次のスライムの元へ向かう。そしてハルバードを両手で構える。右手で刃に近い部分を、左手で柄の方を持つ。

 スライムが突進のモーションをすると、ユイは大きく横へと避けた。そして、ハルバードを大きく振りかぶり、突進がカラぶったスライムの後頭部へと叩きつけた。スライムは塵となり、消えていった。


「やったよ! 倒したよ!」

「流石ユイだね、初めての戦闘でも全然動けてるじゃん。それじゃあこの調子でどんどん倒していこー!」


 それからユイとアカネは辺りが暗くなるまで狩りを続けた。スライムでレベルが上がらなくなってくると一角ウサギを狩り、レベルは1から8まで上げることができた。



 ○



 狩りをやめて初めの広場へと戻ってくると、アカネは武器の手入れをしつつ、ステータスの確認をしていた。


「いやー 今日はだいぶ長いこと戦ってたね。おかげでレベルも上がって、スキルポイントも増えて、楽しかったー!」

「アカネちゃん、ずっと楽しみにしてたもんねー まだかなまだかなってずっと言っててうるさいぐらいだったもん」


 昨日なんて、早く学校終わらないかな~っとか。早退しようかな~っとか。明日の9時にサーバーが開くと公式で発表されているにもかかわらず、ずっと早く明日になれってオーラを纏い続けてたもんな。リリース日は早くも遅くもならないというのに、子供か! っと思わず国語の教科書でアカネの頭を叩いてしまったのっは仕方ない。……そう、仕方ない。たとえ教科書の角が丁度良く茜ちゃんの頭に突き刺さろうとも。


「待ちに待ったゲームだもん! そりゃ発売日が分かってても騒ぎたくなるものだよ! ……でも、私明後日から部活の合宿があってしばらくできなくなるんだよねーー……明日も合宿の準備しなきゃだし……なんで夏に合宿するかな~ はぁ…」


 そこまで楽しみだったにもかかわらず、明後日には合宿なのは本当に不憫だとも思う。


「コンクール前だし、仕方ないよ」

「ユイはいいよねー夏はずっと休みでさ~ こんなことなら、部長になんてなるんじゃなかったよ……大事なスタートダッシュなのに~」

「もぅ、いつまでも引きずってないで、合宿とコンクール頑張ってきなって。アカネちゃんが金賞とれるように応援してるからさ!」

「そうだよね、いつまでもうじうじ言ってらんないよねー  …よし!私が合宿に行ってる間、私の分までユイが楽しんでね!」

「アカネちゃんも楽しんできてね」

「それじゃあ、またねー!」



 ○



 次の日、ユイはスライムたちがいた場所とは反対側の、敵が少し強めの森林へと来ていた。


「今日はアカネちゃんがいないし、少し無茶してみようかな。えっと…ここのモンスターはトレントとウルフがメインだっけ」

「ワン!ワン! ウウゥゥ…ワン!」


 そんなことを言っているうちに、目の前にはウルフが出てきた。


「さっそく出てきたね。 先手必勝!」


 ユイはウルフの元へと走っていくと、ハルバードを大きく振り上げ、ウルフの頭へ向かって勢いよく振り下ろした。


「よいしょぉぃ!」


「キャウゥン…」


 ウルフは赤い塵となっていった。


「おおぉぉ… いい爽快感! しばらくはこの戦法で戦っていこうかな」


 それからユイは新しい獲物を求めて森林を探索していくのだった。



 ○



 獲物を狩り続けて3時間がたったころ、ユイは森林を出て、町の宿屋のベッドで寝転んでいた。


「敵をどんどん切り捨てていく感じ、たまらなかったな~ まだまだ武器を振り回し足りない感じがするよ。あ、そういえば……」


 ユイは上半身を起こすと、ステータス画面を開いた。


「昨日からステータス割り振ってないや。えっと、割り振れる項目は、『力』『魔力』『俊敏』『守備』『魔力守備』『運気』の六つね」


 ユイは『力』の項目に表示されている『+』ボタンを長押しする。


「敵を簡単に倒すために、全部『力』に振っちゃっていいよね。あとはスキルポイントの割り振りか」


 ステータス画面を閉じると、スキルポイント割り振り画面を開く。そこには『山賊』と『斧槍』の項目がある。


「『山賊』と『斧槍』のどっちのほうがいいのかな…… 職業は進化する可能性があるらしいから、それまではとりあえず『斧槍』に全部振っちゃっていいのかな」


『斧槍』の項目だけ数値が増えてゆく。


「よし! これでどんなスキルを覚えたんだろ……?」


 -------------------------

 ○パッシブスキル

『叩きつけ・靭』:叩きつけモーションにスーパーアーマーを付与する

『薙ぎ払い・靭』:薙ぎ払いモーションにスーパーアーマーを付与する

『刺突・靭』:刺突モーションにスーパーアーマーを付与する

『踏み込み』:踏み込みモーションにスーパーアーマーを付与する

『血の渇き』:敵を倒し続けると、武器の攻撃力が少しずつ上昇する


 ○アクティブスキル

『鎧砕き』:敵の守備力を減少させる

 -------------------------


「スーパーアーマーが多い感じかー これでもっと無茶して戦えそう? 敵の攻撃にひるまず、バッタバッタと切り捨てる…………うん。楽しそうかも!」


「ところで、この物騒な名前の『血の渇き』ってなんだろう?」


『血の渇き』:武器の手入れをせず、攻撃力が下がっていくこともお構いなしに戦い続けた変わり者のためのスキル。武器の手入れをすることなく敵を倒し続けると攻撃力が徐々に上昇する。


「なにこの説明……ちょっと馬鹿にされてない……? 別にいいけど、なんか釈然としないなぁ。というか、このゲームって武器の手入れが必要だったんだ……ごめんねハルバード……」


 メニューに表示されている時間を確認すると、寝る時間が迫ってきていた。ユイはベッドから立ち上がるとログアウトボタンを押す。


「明日の狩りが楽しみだ!」

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