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SF!?異世界ドライブ旅行記  作者: hachikun
はじまり
1/100

プロローグ

こんにちは。

ファンタジー要素を極力排除した、異世界ドライブ旅行記のまったく別のバージョンです。


なお開始時点では土日も更新しますが、今後は平日となります。

本日は三話連続投稿、そして13話までは平日ペースで進みます。

ただし現在、転職活動中で執筆速度が落ちていますので、以降はそれ次第となります。


本日投稿(1/3)

 雨が降っていた。

 すごい雨だった。

 滝のような雨の中、俺は車に乗って家路を急いでいた。

「はぁ……スコールかってーの」

 こんな激しい雨はしばらくぶり。

 やれやれ、天気が悪いからと車を選んだつもりだったけど、今回ばかりは大正解みたいだな。

 悪い視界も降り続く雨も、下着までびしょ濡れになり、荷物を気にしつつ、感覚のなくなってくるバイクでの長雨に比べたら楽なものだ。

 俺のする事といえば周囲に気を配りつつ、ひたすらバイパス上を走るだけでいいんだから。

 

 あ、念の為に言っとくけど、バイクの雨もそんなに悪いもんでもないんだぜ?

 たしかにバイクで雨がふったらイヤだよな?

 だけどさ、雨の中でしんどい思いをするからこそ、それが晴れ渡った時に幸せになれるんだぜ?

 車だけの人からすれば、晴れの日に気持ちよさげに走るバイクは優雅に見えるだろ?

 けどその裏には雨にふられ、埃や、場合によっては泥にまみれ、凍えるような寒さや煮えたぎるような暑さを知っているからこそ……だからこそ、そうでない時に幸せなのさ。

 徒歩、自転車、バイク、そして車……移動手段は色々あるけど、それぞれに良いとこも悪いとこもあるんだ。

 

 旅はいい。

 今はなかなか無理だけど、いつか時間が作れたら、また長旅がしたいもんだなぁ。

 

 ……む?

「なんだこれ、風まで強くなってきやがったか?」

 俺の車はいわゆる軽の箱バンってやつだ。

 箱型の大きな車体は、中で寝泊まりしながら旅するには最高なんだけど、ガンガン飛ばすには向かないし強風に振り回される事もある。

 車中泊がブームとか何とかいって、まるで夢のアイテムのようにこの手の車を無責任に勧めるのは正直どうかと思う。

 だって、所詮箱バンは箱バンだからだ。

 たとえば家族でドライブしたいなら、こんな乗り心地の悪い車を選んじゃいけないだろ?

 俺みたいにわざわざ選んで乗ってるヤツは、そういう不便さは覚悟の上で買ってるわけだけど、巻き込まれる家族はそうじゃないんだぜ?

 さてと。

「ひでえ雨になってきたな……山越えやばいか?」

 走る事はまだできる。

 風だって、別にゆっくり走ればまだイケる。

 だけど大雨でゲートが閉じちゃったら、結局無駄足になるかもしれん。

「こりゃあ、どっかで夜明かしした方がいいか?」

 何がなんでも急げってわけじゃない。予定には余裕がある。

 そして、俺が箱バンを愛用しているのは、中で寝泊まりするためだったりするんだ。

 さて。

 けどその前に、だ。

「とりあえず、まず用足しすっかぁ」

 トイレは行ける時に行っておくべきだ。

 ちょうど、道の駅がある。

 即座にウインカーを出して、車を乗り入れる事にした。

 

 今にして思えば、この時点で何かおかしかった。

 え、何がおかしいかって?

 だって名前がなかったんだよね。単に『道の駅』としか。

 全部がそうとは言わないけど、道の駅って普通、必ず名前が書いてあるものだ。

 ドライブする人ならわかるよな?

 よほど古い道の駅か、あるいは何か事情でもない限り、道の駅には必ず名前が書いてあるものだ。

 なのに『道の駅』としか書いてない。

 何かややこしいワケアリなのか?

 それとも単に自称・道の駅の名もないトイレつき駐車場なのか?

 

 けどこの時の俺は気づいてなかった。

 そして。

「置き場は……あるな」

 車は何台か止まっていたけど、ひとの姿はない。雨だからだろうか?

 真っ暗に等しいけど、トイレだけは灯りがついてて使えそうだった。

 よし。

 空いている場所の一角に車をとめた。

 エンジンを停止。

 電気をつけてシートベルトを外し、隣に積んである上着をとるために視界を下に向けて。

「──え?」

 

 がくん、と唐突に車体そのものが傾いたような気がした。

 

 それが──今、この車を止めた場所がやばい──何か危険な前兆であると、理屈もなく本能的に気づいた。

 よくわからんけど、なんかまずい!!

 即座に再発進のため、シートベルトをしめなおそうとした。

 けど、その前に唐突に、世界の全てが、ほとんど横だおしになってしまった。

 シートベルトを外していた俺はシートから投げ出されて。

 さらにそのまま、車体はどこかに堕ち始めて。

 

 何も見えない落下感。

 

 そして。

 それっきり、俺の意識は途絶えた。


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