『帰省』
あのさ
僕は帰省する。
ゆらり、ゆらりと電車に揺られながら。
最近は仕事に夢中で。
あまり景色を見ることはなかった。
ふと気になって窓の外を眺めると。
北関東のやまやまは。
紅の衣を脱ぎ始めていた。
ほんの少し前までは。
美しかっただろうに。
生き生きしていただろうに…。
「あぁ、僕と同じか—」
レモンサワーを飲みながら。
僕はふと呟いた。
淋しさとアルコールが。
身に染みる…。
少しだけ辛くなって。
自分を重ねてしまって。
目を逸らしてしまった。
京都まであと2時間とすこし。
僕は瞑想を始めた。
ぁ、、