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悪役令嬢は召された彼を還せない  作者: 宇和マチカ


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24/35

目覚める悪役令嬢

お読み頂き有難う御座います。

ミズハが目覚めましたが、何だか様子がおかしいようです。

「ううん?」

「あ、目を覚ましましたか」


 ちょっと低くて、柔らかい声が聞こえます。

 そおっと、重たい瞼を持ち上げると、目の前に広がるのは、綺麗な澄んだ空色……。

 ああ、何だかホッとします。何故でしょうか。この色、とっても好きです。いつまでも見ていたくなります。


「とっても、綺麗です」

「は?頭大丈夫です?」


 頭?

 ……!?えっと、え?頭??そう言えば、おでこ?が痛いような。

 あれ?何でおでこが痛いんでしょう?ぶつけた?


「空から何か降ってきたとか?」

「おい、寝ぼけてんなあ。幻覚見えてます?」


  目の前には、綺麗なひとが……誰かなあ。

 特に、お空の空色の瞳がとっても綺麗。とっても眉根を寄せて、不機嫌そうです。


「こんなに綺麗なのに、口がお悪いです」


 思わず口にすると、空色が細められました。綺麗な方、ですけど怒っておられます?

 何か有ったのでしょうか。

 ああ、目を閉じないで。空色が隠れちゃう。


「勿体無い。見せてください」

「イヤマジなんなんです?起きたなら普通正気に返らねえ?事が思ったより深刻?

 マジかよあの電波と下っ端マジ殺す」

「…………?」


 電波と下っ端……?何でしたっけ。

 ガチャガチャと、音が聞こえます。

 空色さんが私の耳の横に有った小さい塊を弄ってるみたいです。

 ああ、そんな小さいものを乱暴に扱って、壊れてしまわないでしょうか?


「お名前言えます?つか、さっきからこのナースコール壊れてんのか?何の為の呼び出しだよ!」

「空色さん」


 あまり怒ると、空色が隠れてしまいます。


「誰だよそりゃ!ミズハ、いい加減起きろ!寝ぼけんな!アイツ等に鉄拳喰らわしてから寝ろ!」


 アイツ等って誰でしたかしら。心地良い声なのに、仰ることが物騒なんですから。

 人を殴ってはいけないのです。だって、とっても痛いんですよ。

 邪魔をするな、平手なら良いって……誰が言ったんだったかしら。


「暴力は、いけませんよ?」

「煩いんですよ。まさかお前、ほんとはゲームでも、ホントはこういう暴力受けてアタマ込みで心身壊された?

 ああ、そーいうの聞いたことある。

 だから……メアリをイビる立場に……?」

「ゲーム……?」


 何なんでしょうか。それって、何でしたっけ。

 聞いたこと有るのに思い出せません。懐かしいような、いえ、でも知らない。知っていた?モヤモヤします。


「嘘でしょオイ。そういう事なのかよ、クソッ」


 ああ、綺麗な空色が曇って、雨が。雨が空色さんを覆っています。

 フワフワで、シトシトしていて、とっても綺麗。

 綺麗なお水が空色さんを、まるで花嫁さんのヴェールみたいにふわふわと包んで、キラキラしてます。

 とっても綺麗。まるで、お伽話の魔法みたい。


「泣かないで、空色さん」

「いやふざけんな。マジふざけんな。こんな所居たくねえ。俺は絶対帰る。

 その時お前を連れて帰る。お前のかーちゃん込みで引き受けてやる。あの父上驚かせてやりますよ」

「空色さん?」


 空色さんはお家に帰って、お父さんに会いたい?

 そうなんですね。お父さんと仲良しで良いなあ。私はお父さんに会いたくないなあ。

 あれ、何で会いたく無かったんでしたっけ。

 お父さん、私には怒ってばっかりだったからかなあ。お母さんのいない所で叩いたり、怒鳴ったり、取り上げたり……。


「こっちを向け、ミズハ。魅入られるな」


 そおっと、頬っぺたを包まれて、あったかい。

 空色さんの目がとっても近いです。

 近すぎて、ぼやぼやゆらゆらする。

 お部屋の中なのに、空色さんが、お水に包まれてキラキラしています。どうして?


「いーか、俺のホントの名前は」


 あれ、いつの間にか私も水の中。

 水の中で喋られると、聞こえませんよ。泡が上がっていくだけで。

 あれ、口を塞がれると、息が。


「………」


  ほら、空気が空へ向かっていく。やっぱり聞こえない。

 水の中でお話は、出来ないのに……。


 何故貴方は、笑顔なんでしょう?

 その、笑顔。何だか、とっても怖いですよ。お空の色が、窓の外と同じ、いえ、赤よりもこちらの方が綺麗。

 ゆらゆら……眠くなって、瞼が。


「叩きのめす為に頑張ろうな、ミズハ」


 ぽちゃり、と雫の音がしました。




「ミズハ」

「……?」


 此処は何処なんでしょう。

 すぐ目に入ったのが、見慣れないベッドに、白いシーツに、点滴の棒って言うことは……見るからに病院っぽいですね。

 流石に保健室に点滴棒は置いていないでしょうし。

 ……約束通り、お母さんが迎えに来てくれたんですね。


「ああ、良かったミズハ!!」

「お母さん?」


 この私と同じカラーリングは……見るからにお母さんですね。

 何故私のベッドサイドに居るのでしょう。

 そしてそもそも、何故私は病院に居るのでしょうか……。何処か怪我しましたっけ?


「覚えてる?ミズハが不審者に殴られて裏門に倒れてたんだよ」

「……そうなんですか!? ええ!?全然覚えていないよ!?」

「三和さんと轟さんっていう友達の子が見つけてくれたんだって」

「三和さんと轟さんが……?ああ、そうなんですか」


 ああ、またご迷惑を掛けてしまいました。

 さぞかし驚かれた事でしょう。しかし、どうして不審者に私が?

 考えても全然思い当たりが……ああ、いえ、有りますね。

 父や、轟エミリの仕業でしょうか。

 凄くそんな気しかしないですね。今の所、自分の分かる範囲で怪我が無いのが何よりです。


「本当にお前の学校も駄目ね……。警察沙汰……、いや、いっその事週刊誌、ネットに売るか」

「えっと、過激な事はやめて。お母さん」


 ちょっと黒いオーラが出てますし。

 私の為に怒ってくれるのはとっても嬉しいですけど。

 週刊誌沙汰なんてなったら、学校にマスコミが押し寄せますよ。


「物入りなんだからお金になる方がいいし」

「やめてよ。友達が迷惑するかも」

「あの子達にか。そうね、色々と教えてくれたし、……卒業後なら良いかな」


 ……お母さんは過激派ですね。

 ですけど、不審者とは誰なんでしょう。

 記憶がイマイチ定かでは無いのですよ。


「でも、思ったより元気で良かったわ。後で精密検査と、警察の事情聴取が後で来るらしいから」

「あんまり覚えてないんだけど」

「余程強く頭を打ったのね……」

「今、全然痛くないんだけど」


 悲しそうな顔になる母に心が痛みます。

 でも、襲われた、なんて聞いても思い出せません。それに頭は結構クリアなんですよね。

 アドレナリンとかでしょうか。

 いえ、流石に私が鈍くても打ち身の痛みくらいは感じる筈です。


「よっぽど上手く倒れたのね」

「運動神経良くないんだけどなあ」


 植え込みでもクッションになってくれたんでしょうか。

 だとしたらラッキーでした。裏門には沢山植木が有りますものね。


「そう言えば、轟さんと三和さんは?」

「もう遅いから帰って貰ったわ」


 窓の外を見ると……夕焼けはとっくに終わってるようです。

 結構暗いですね。長い事眠っていたようです、いつの間にか時間が経っていたようです。


「遅くまでおられたの?」

「夕方くらいかな」

「そっか、水の中から空色を見たから昼かと」

「水?空色?」


 ……?あれ?

 あれ、何処で見たんでしたっけ?水泳の授業が有った訳でもないのに。


「私、何を見たんだっけ」

「ミズハ、検査を早めてもらうよう頼んでくるわ」


 ああ、お母さんが出ていってしまいました。


「……平気なのにな」


 寧ろ、寝かされているのが申し訳ないくらい体が軽いんですが。

 犯人を覚えていないのが悔しいですね……。


「と言いますか、犯人は限られてますよね。父と、轟エミリが組んでるのかな」


 双方、私が憎くて堪らないようですから。

 父は母の愛を独り占めする私が。

 轟エミリはヒロインになりたいから、悪役としての私が。


「私、あの人達の正義に付き合う義理も、ご期待に添える必要も有りませんよね」


 良く有りたいですけど、叩きのめさなきゃ、いけませんよね。

 私、悪役令嬢なんですもの。




あら不思議。そんな誰かの力で戻ってこれました。そしてミズハは少々吹っ切れたようですね。

頭部外傷については調べましたが、詳しく突っ込まないでくださいませ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 肝心なところを忘れてしまったようですね。心当たりの二人は容疑者としてざまぁされるかな。学校が不祥事隠しで防犯カメラの映像とか処分しなければこのミズハ襲撃事件は解決されるかな。裏門辺りは良家の…
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