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陰to陽  作者: 黒川一
ー黄昏編ー
1/82

第1夜 プロローグ






ー17:27 神奈川県某所






「ここか…。」

少年は呟いた。




彼の視線の先にあるのは郊外に佇む廃団地。

周囲には覆いかぶさるように木々が生い茂り、長年陽の光とは無縁のようだ。



辺りには空き地が多く、人気は無い。




時は夕刻




ただでさえ陽の光が当たらない場所を、そっと夕闇が包み始める。




この小高い丘の上に建つ団地を、ぐるりと囲む背高いフェンスの下で、先程の少年とどうやら怯えている様子の少女が居る。

一見若いカップルのようにも見える2人は、学生服がよく似合う。




漆原(うるしばら)くん、私にしっかりと付いてきー」

声を震わせる少女の言葉を遮るように左の掌をかざし、漆原はボソボソと呟いた。



「落ち着いた?」

微笑を浮かべながら話す漆原と、表情が強張っている少女との温度差は、真夏のこの時期にも明確にわかるほど開いていた。




やがて、不思議と少女の顔には柔らかさが見えてきたが、額には相変わらず冷たい汗が流れていた。




「じゃあ行こっか。」

漆原(うるしばら)は軽快にフェンスを乗り越えていく。


「待って!」

必死に漆原(うるしばら)を呼び止めながら、彼女もまたフェンスを乗り越える。


「痛っ!」

フェンス上部の有刺鉄線に足を引っ掛けた少女は、左の太ももにジンジンとした痛みを感じながらも、足早に少年の後を追っていった。





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