表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

荒事

 男のひとりが馬車に乗り込み、中に居る者の姿を確認する。

「確かに商人とメイドっぽいのしか居ないな。お嬢様が変装してるって訳でもなさそうだ」

 ひとりひとりを見て回ると、男は馬車を降りた。

「確かにお嬢様は乗ってない。途中で降りたか、別の馬車に乗ったかじゃないですかね?」

 報告を受けると、男は一言「ふむ」と言っただけで黙り込んだ。

 目的を達成できず、男達に同様が広がる。

「いいかい、お目当ての娘とやらは居なかったんだ。きっちり迷惑料払ってもらおうか!」

 シャリッサはお構い無しに男達を怒鳴りつける。

「いくらだ?」

 男は不満そうに答える。

「ちっと安くしておいてやる。アタシらと、商人さんと御者さんの分、合わせて銀貨30枚で許してやるよ」

「ふざけるな!」

「ふざけてるのはどっちだい? 先にいくらかと聞かなかったそっちが悪いんだろ? 女だと思って見くびるんじゃないよ!」

 威嚇するシャリッサに苛立った男たちは、剣に手をかける。

「なんだい、やる気かい? それを抜いたらあんた達の命の保障は無いよ」

「にぃゃあぁぁぁぁぁぁ」

 コルネッテが毛を逆立て、シャリッサの言葉に合わせるように鳴いた。

 その声で、男たちは一瞬で恐慌状態に陥る。

 手が震え、体が言う事を利かず、何人かは落馬した。

「なんだ! 何が起こった」

 リーダーらしき男は、正常な精神を保ったが、周囲の出来事に動揺する。

「さあ、金を置いて帰るか、戦うかはっきりしな! ……って、あたしゃ追いはぎみたいな事言ってるね」

 シャリッサは苦笑した。

 馬車の中から商人たちの笑い声が聞こえてくる。

 男は馬に縛り付けてあった袋の紐を解き、手に取ると、シャリッサに向けて投げた。

「それで持ち合わせは全部だ。すまなかった……行ってくれ」

 ガックリと肩を落として男は馬首を返す。

 そして、落馬した仲間の様子を伺う。

 袋の中身を覗き込んだシャリッサは、中から銀貨を30枚数えて取り出すと、残りが入った袋を男に投げ返した。

「きっちり頂いたよ。仲間の面倒、ちゃんと見るんだよ」

 そう言うと、シャリッサは馬車の中に引っ込む。

 御者はそれを見届けると、馬車を動かした。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ