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お好み異世界優良物件(家)  作者: 妃 大和


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素敵な庭にはイケオジがいるようで

また間隔空いてしまいました。ブックマークしたままでいてくださって感謝です。

 柵に沿って人の波に乗って行けば、前庭への入口と思わしき場所に出た。

 誰でも入れるとうたってはいるが、危険人物は入らないように出入り口での検問はしているようだった。

 列に並び、衛兵の立つ間を通り抜け、門を抜ける。

 すると目の前には白い砂利が敷き詰められた広場とその奥に青い芝生が広がっていた。芝生の周りにはキレイに刈り込まれた低木と色とりどりの花壇があって、間には石畳が張り巡らせられている。

 広い庭園の両端には大木が壁のように立ち並び、最奥には私が見たかった城がデーンと建っていた。


「うわー、すごいとしか言えない」


 城は陽の光に照らされて輝いている。明るい灰白色の石を積み上げて建てられたそれは、ものすごく大きな翼を広げた鳥のようでもあった。清廉でありながら孤高を感じさせる。

 周りを見れば開放された庭園の所々を観光客が散策していた。同じように私とカメちゃんも気の向くまま歩き始めた。


「カメちゃん、この花達きれいだし、いい匂いだねえ。お城も素敵だし、ここは夢の世界のようだねぇ」


 私とカメちゃんは癒されていた。思わず頭を揺らして、鼻歌が出るくらいには気分が良い。こちらの世界に来てから、こんなに気を抜いてゆったりとした時を過ごすのは久しぶりである。




「いやあ、楽しんでいるようだねえ。何よりだ」


 いきなり背中側から声をかけられた。

 気配察知スキルは警戒を知らせなかった。とはいえ、いきなりの登場にギョッとして振り返る。すると目の前には美丈夫が立っていた。若くはない。しかし映画とかテレビの中でだけお目にかかれるような「イケオジ」がいた。

 一歩間違えば、単なるボサボサ頭になりそうな短髪の金髪キラキラヘアに、宝石のような紫色のキラキラした瞳、そして目尻にちょっとだけあるシワが良い人感を与えている。肌はツヤツヤで、彫りは深すぎず、日本人好みといった感じの西洋系のお顔であった。


(何者?)


 へらっとしているのに、オジサンにはあり得ないような爽やかさをまとっている。そのうえ人の良さそうな笑顔で私の警戒心を剥ぎ取っていく。

 なのに隙がない。

 若者レイモス相手では何ともなかったのに、このオジサンには見惚れてしまいそうな自分がいた。自分を叱咤して、私はジロリと見返した。


「ねえ、ここきれいでしょ。僕もここ大好きな場所なんだよね。来る人みんながリラックスして良い顔をしてくれる。賢者さまと聖獣様まで癒せる場所とは私も鼻が高いなぁ」


(はぁあ?)


 まるで自分の手柄のように言うその様子に逃げろと何かがささやいた気がした。カメちゃんを抱き抱えて逃げようかと思ったその時に彼が何者か判明した。


「陛下、不用心過ぎます。私達を置いていかないでください」


 あちゃー、この国の国王だったわ。

 聖獣カメちゃんを知り、探りをいれていなければ私のことなんて知らないはずなのに知っていた。それらを合わせて考えればこの国の偉い人てあることは想像がつく。あのキラキラ感は王族のものでしたか。

 好みのタイプであるが、平穏な生活のためには関わり合わないほうが良いに決まっている。


「ほー、へえー」


 適当に相槌をうって、カメチャンと一緒に逃げようとしていた私の腕をイケオジが優しく掴んで引き留めた。

 あぁ、ちょっとうれしいかもしれない。


「つれないなあ」


 口元はヘニョッとしているのに、目は笑っていなかった。本気(マジ)である。

 私的には「賢者? 誰のこと?」である。私がそんな偉そうな人である訳がない。

 かといって「単なる異世界知識を持っている元主婦のおばさんです〜」と言うこともできない。


(うーむ)


 心の中で唸る。

 気がつけば、口はへの字になり、手が震えていた。


「そんなに怖がらないで。賢者と呼ばれるのがイヤなのかな? でも君の知識は賢者のものだと思うんだけどね。まぁ、君達が気持ちよくこの国で過ごしてくれないと私たちはその恩恵にあずかれないから。たまーに声をかけるだけにするよ」


 そう言ってたぶん国王らしきイケオジは手をヒラヒラと振って、護衛っぽい人達と共に離れて行った。

 私達が困るようなことをするつもりがないことは分かった。その言葉が直接聞けたことを喜ぶべきなのだろう。5バツ様が私のような人がこの世界に来たときのために何らかしている対策の1つかもしれない。


「ようし、カメチャン、むこうの城も見学に行こう!」


 気を取り直して、私とカメチャンほ再び歩き始めた。

 お城の作りも見ておけば、きっと家作りの参考になるに違いない。


(聖女とか勇者でなくてよかったわ。なれと言われても絶対に無理だし。賢者のが呼ばれるにしてもまだましよね)




 城には近づけなかった。いや壁から5メートルくらいまでは近づけた。

 窓や立派な柱や磨き上げられた床を見ることはできた。働いているせわしそうに行き交う騎士らしき人や文官らしき人を見ることはできた。

 防御の魔術とか結界がはってあるのだろう。何となくカメチャンがいるし、突破すれば行けてしまいそうな気がしないではない。うん、邪魔してはいけない。素直に回れ右をして帰宅するのだった。

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