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お好み異世界優良物件(家)  作者: 妃 大和


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河原には砂利と砂がある

 オレンデのところに行けば、目の前に厚さ2センチくらいの木を薄く切りましたって感じの板が積み上げられていた。

 チェーンソーはもちろん電動糸ノコさえないこの世界を考えれば圧巻の光景である。

 どうやって木を切ったのか聞けば、もともと木の伐採として使っていた水魔法をギュッと圧縮してカッターとしての能力を上げたらしい。たしか元の世界にも水を使ったカッターがあった気がする。「発明は必要の母」を地で行ったようだ。感心しかない。

「何に使うのか?」と聞かれたので、素直に木で枠を作ってセメントもどきを流し込んで固めると答えたら、不思議な顔をされた。

 セメントもどきは地面に流し固めたり、石の壁の隙間を埋めるのに使うらしい。単独で形を作らせることはないそうだ。


「また同じような板を作ってくださいね」


 私は今回分の代金を払い、再び丸太をアイテムボックスから出して板にするよう依頼した。


「おう、任せろ」


 オレンデは誇らしい顔で自信を持って引き受けてくれた。

 私は薄い板をアイテムボックスにしまって店を出る。


 薄い板が手に入ったので、砂利と砂があれば家の基礎部分に手をつけることができそうだ。

 上流の川原に行けば手に入るだろう。

 オメダレ林を上流として王都をかすめるように川は流れている。川は私の生活圏から遠かったし、オメダレ林の私が入ったことある場所よりもっと奥を川は流れているそうだ。


 宿屋でつなぎに着替えて、装備を整える。ベストに籠手とナイフホルダーというフル装備は久しぶりだ。頭にはもちろん海賊巻きの布がある。背負いカバンには水袋が入っている。

 屋台で早めのすいとんのような昼食を食べて、おやきのようなものを3個非常食として購入した。

 まだ午前中とはいえ、オメダレ林の奥まで入るし、避け玉も使うかもしれない。

 タンタル山と違って豊かな林ってことは動物がでるのである。安全第一。


「わたしも少し経験積んで冒険者らしくなったと思うんだけど、採取師だからねえ。動物に会ったらカメチャンの結界だけが頼りです。よろしく頼みますよ」

「げぎょ」


 城門を出てオメダレ林へと続く一本道をカメチャンと2人で歩いて行く。たまにオメダレダ村から王都へと向かう荷馬車とすれ違ったりする。風が心地良い。

 オメダレ林の入口で気配察知のスキルを意識的に使う。感じる範囲を自分の周りから、道なりに少しずつ遠くへ遠くへと広げていく。動く大型動物の気配を探るのだ。

 動きの速いヤバそうな動物はいなさそうだ。肉食の動物は基本夜行性のはずだ。巣穴に自ら飛び込まなければ安全に川の上流に行けるだろう。


「今日はつけてきている人もいないし~」


 採取はしないでオメダレ林の中にある細い道をどんどん奥へ向かって進んで行った。

 馬車は通れないが人が何度も通ったことで出来た道なので比較的歩きやすい。カメチャンも顔に下草が当たることもないのでスムーズに進んで行く。


 木が多くなって薄日しか差さなくなってきた頃、何となく湿った空気を感じると程なく川縁へと到着した。道が繋がっていたので皆が使う水場なのだろう。水場を荒らすのは避けたい。そのまま川に沿って更に上流へと向かった。今度は道がないので少々厄介だ。足元が不安定で下草も多い。

 少しして蛇行して河原が出来ている場所に来た。背丈を超える下草をかき分け河原へと出る。意外と広い。

 足元のゴツゴツとした大きめな石を少しかき分ければ、底に小石と砂が見えた。

 手で触る。


「うん、使えそう。ただ、上にある石をどかさなくちゃ採れないね。だからアイテムボックスに収納っと」


 目に入った範囲の石が見えなくなると砂利と砂の広場が現れた。


「砂利と砂も収納っと。そして石を戻すっと。あらま、少しかたよっちゃったかな」


 ほぼ平らに河原にあったはずのゴツゴツした石が一カ所に積み上がっていた。いっぺんに戻したからだ。このままだと川の流れが変わってしまいそうだったので、石を再び収納する。

 今度は少量ずつ取りだした。


「これでほぼ元通りっと。下にあった砂利と砂が無くなっているようには見えないよね」


 川に落ちないように歩き回り確認した。問題ないはずだ。

 のぞき見れば、川は上流なので魚が見えるほど澄んでいる。


「おいしそう。お土産に捕ろうか」

「げぎょ」


 しかし、思ったほどうまくいかなかった。認識して収納すればイケると思ったが、魚の動くスピードが速すぎてちゃんと認識できないのだ。

 しかし水底であまり動かない魚は数匹捕ることができた。


「小魚、動くの速すぎ。でもこれを捕まえられるくらいしっかり認識できれば、今後の安全確保になるってものよね」


 アイテムボックスに収納された魚の数を数度確認して、私は止めた。長い目で自らの成長を見守ることにしたのだ。

 要は全然認識できなかった。

 今の私では、以前に考えた最強ボックス説は大きいもの限定ということになる。


「油断大敵。おごることなかれ~」


 採取をしながら、私とカメチャンは帰路についた。もちろんいつもより奥の林に入ったので、新たな植物を手に入れることもできたのだった。








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