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お好み異世界優良物件(家)  作者: 妃 大和


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新しい防具はテンション上がる

 意気込んでみたものの、いきなり山登りには行けない。

 タンタル山について情報収集しなければ。そのあたりに住む動植物を知る必要がある。今まで知らなかった魔獣についても知っておくべきだろう。

 何があるとしても武器は斧とアイテムボックスとして、身を守る装備も必要だ。

 それに防水の仕上げ塗料の材料となるシリコーンスライムについても調べたい。

 とにかく快適で楽ちんな旅をするにはしっかりとした準備が必要だ。


 私は再び一番近い茂みと二番目三番目に近い森へ行って、採取しまくった。今度はカメチャンも一緒である。日が経っていたのでちゃんと葉や実は育っていた。もちろんオメダレ林にも行った。

 採取したものはもちろん換金する。今回もそれなりにいいお金となった。


 平地を歩き回る体力はじゅうぶんあるという実感はあった。そこで脚力を増やすために背負いカバンの中身を増やしてみた。

 アイテムボックスに採取したもの全部を入れないで一部残すのだ。負荷をかけるのだ。これが思ったよりきつい。

 元の世界で、子供達が中学生や高校生の頃、パンパンに膨らんだカバンを背負う姿を見て「大変そうだなあ」と思ったものだが、いざ自分の番となると軽く「がんばれ」と言った自分がひどいやつだったというのが分かる。彼らより小さな背負いカバンなのに……でも、きっと体力が増したはず。


 採取の合間に冒険者ギルドの本棚の辞書や本でタンタル山や魔獣について調べた。さらに暇そうなギルド職員を捕まえて聞く。

(……やっぱり魔獣っているんだ……)

 たぶん、この世界の人にとっては当たり前の知識なので、心の中でつぶやく。

 王都周辺には魔獣が近寄れないようになっているし、人が多くいる場所には魔獣は基本近づかないらしい。それで今まで私が魔獣に会うことがなかったようだった。

 獣だって王都や人里に近づくと討伐されている。狩りで生計を立てている人だっている。美味しいお肉となった獣を私は食べているのだ。

 スライムは魔獣でありながら素材として重宝がられている。生態に不明な部分が多いが、核をつつけばあっという間に崩壊することは知られているので恐れられてはいない。


 知識とお金がそこそこ得られたので、いよいよ新しく防具を買うことにする。向かうのはもちろん冒険者ギルドの何でも屋である。


「リイネちゃん、お買い物に来ました」

「ミーチェちゃん、いらっしゃいませ。今日は何をお探しですか?」


 揺れるロールパンのような髪が今日もおいしそうだ。


「ちょっと遠出をするの。タンタル山に入るんだけど、私の体に負担のかからない丈夫な防具ってありますか?」

「はあい、もちろん。うーん、ちょっと待っててね」


 店の壁に沿って吊り下げてある服の後ろの棚をリイネはゴソゴソと探した。服の隙間からオレンジ色の髪が見え隠れする。


「体を守るには、ほんとは細い金属で編まれた鎖帷子(くさりかたびら)が一番のおすすめなんだけど、ミーチェちゃんのサイズってないのよね。オーダーメイドは納品に時間がかかるし、すごく高いの。そこでこれです。胸とお腹は堅い一枚皮で出来ているけど、肩と脇腹と背中は金属を編み込んだ繊維で編んであります。ベストタイプで見た目もごつくないし、着脱も簡単です。革の部分には堅さマシマシの錬金が施してあります。普通に斬りかかるくらいなら十分防ぎますよ。衝撃自体は防げませんけどね。おそろいの籠手もあるんですよ。ミーチェちゃん、試着してみませんか?」


 リイネに勧められるままに私はベスト風胸当てをつなぎの上から着てみた。

 革で出来たお腹側は焦げ茶色で編み込み繊維部分は黒っぽい赤地のベストである。籠手は手の甲から肘にかけて革で出来ていて、内側が編み込み繊維だ。土で少し染まった生成り色のつなぎと意外によく合っている。


「さらに以前お買い上げになったナイフをホルダーで下げれば、ほら、かっこいいでしょ。いかがですか?」


(あ、なんかいい。強そう。冒険者って感じだわ)


 リイネが私に付けてくれたナイフホルダーをそっとなでる。自分の顔がにやけているのがわかるわ。うん、チョロいね私。リイネのチョイスが良すぎる。


「ベストと籠手とホルダーの全部ください」

「はあい。まいどありぃ」


 ナイフは身につけていなくても、アイテムボックス無双したら最強な自分だと思うけど、ホルダーを付けているとワクワクしてくる。テンション上がるわ。


「よかったらサービスでステッカー付けますよ。カメチャンにどうですか? 飼い主がいるって知らせるには良いですよ」


 リイネは黄色い星が描かれたツヤツヤした紙をひらひらさせた。

 結果、カメチャンの背中には地模様のピンクの星以外に黄色い星が増えたのである。


「錬金のりで接着してあるから、剥がすときにはここに連れてきてくださいね」

「げぎょ」


 頭の良いカメチャンは鳴いて答えた。

 財布の中身は減ったけど、今日も良い買い物が出来た。

 私とリイネはそれぞれ満足して別れたのだった。









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