表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お好み異世界優良物件(家)  作者: 妃 大和


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/59

事件の予感?!

 部屋の奥、窓際のベッドだったせいか、朝日を感じて目が覚めた。

 はめ殺しの小さな窓から外を見れば、空は薄紫色。ちょうど朝日が昇りはじめる頃だった。

 同部屋の皆はまだ眠っている。なので、そっとベッドから体を起こす。

 目についた窓ガラスをよく見れば、分厚く、厚みは不均等だった。まだ大きくて薄いガラスは、この世界では一般的に存在しないのかも知れない。でも技術はあるのだ。

 不均等ガラスの丸窓なんて自分の家に付いていたら、きっと可愛らしい家になる。想像してちょっとにやけてしまった。

 そしてふと、私は気が付いた。ドアは閉まっているし、窓ははめ殺しのうえ、8人もの人数が寝ているにしては、モワッとした空気溜りが無いのだ。

 そっと人差し指の先をなめて、指を立ててみる。


(風がかすかだけど、流れているわね。エアコンみたいなのがある?)


 思いついて【鑑定】を部屋に対してしてみた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~

 大部屋 

 8人分ベッドあり

 魔石による空気循環作動中

 ~~~~~~~~~~~~~~~


 おぉ、魔石で空気循環ができるとは。

 更に温度調節も付けたならエアコンである。これも自分の家を手に入れたら、必ずつけなくては。

 快適なマイハウス、これは大事。今さら、エアコンの無い生活は出来そうにも無い人間だもの。

 この世界で取り入れられそうなものはチェックして、何かに書いておかないと忘れそうだと思ったのだった。


 ◇◇◇


 朝食作りは無かったものの、出発準備を念入りにして、テニレール商隊はサッカエの街を出発した。準備の合間に、私は屋台で手に入れた冷めたピザのようなものを朝食として食べた。

 向かうのはワークレイド王国王都ハンエイル。聞けば、あと1日半ほどで到着するそうだ。

 検索したところ、サッカエは魔石と鉱石の産出を主とする街であった。鉱山で働く者とその者を相手とする商売で栄えている土地である。

 家での生活をゆったり楽しむことよりも、その日一日しっかり働いた後は楽しく簡単(らくちん)な方法で過ごすことを優先する街だった。集合住宅と外食するための店や屋台が多いという、私が感じた街の印象はあながち間違いでは無い。


「おう、お前も王都まで行くんだってな。サッカエで色々買い込んだから、香草はもう要らないぞ」


(あー、もう少し稼げると思ったのに。ちょっと残念)


「はーい、分かりました。食事作りの時には、下ごしらえの手伝いにすぐ入ります」


 そう料理長に答えて、今日も私は幌つき馬車に乗り込んだ。


 サッカエから続く道をテニレール商隊一行はのんびりと進んで行った。たまに違う商隊に行き会ったりして、だんだん栄えた街に向かっている感が強くなってくる。

 畑を抜け、草原を進んだ先の広場で昼食となった。護衛騎士や商隊一行関係無く、自然と王都の話が増えている。もうすぐ到着、仕事終了ということで気分が上がっているようだ。

 豆のスープにパンを浸して食べていた私は何かがここを目指してどんどん近づいていることに気が付いた。スープから視線が上がり、辺りを見渡す。


(気配察知スキルが仕事してるわ)


 思わずそちらを見てしまう。気になるのだ。


 ーーーカッカッカッーーー


「馬?」


 茶色いマントを羽織った人が乗った馬は真っ直ぐにマイカレッティを目指していた。

 護衛に合図してマイカレッティと合流すると、昼食の途中なのに二人は馬車へと入って行く。さりげなく護衛騎士が馬車を取り囲んでいた。


(何かあったのかな? 他の人が近づけないようにしているよね)


 私は横目でマイカレッティの馬車を見ながら、昼食を完食した。

 うっすらとカレーのようなスパイスが利いたスープだった。ターメリックとかスパイスを何種類かそろえばカレーを作ることができる。


(これは、スパイス探すしかないね)


 自分の知る食べ物とこの世界の食べ物が似ていることを改めて感じていると、マイカレッティによってテニレール商隊一行が一カ所に集められた。何か話があるらしい。


「皆、集まったかしら。先ほど、王都のテニレール商会から使者が来ました。王都で重度の感染症が発生したようです。嘔吐と下痢で動けない者が多数います。白い吐瀉物(としゃぶつ)と便が特徴です。病人が多く、薬となるハイピの実が不足しています。なので迂回して採取に向かいます。採取には皆参加するように」

「「「はい!」」」


(吐いたものや便が白いねぇ。まるでノロかロタウイルス感染みたいだわ。ノロ並みだとかなりうつりやすいわよね。実って、病原菌をやっつけるのかしら、それとも吐き気や下痢を止めるのかしら)


 地球でノロウイルスに効く薬はなかったから、ハイピの実ってのはすごい薬の原料ってことである。


 テニレール商隊一行は街道らしき道をそれて、うっそうとした森の奥へとやって来た。


「ハイピの実は、爪くらいの大きさで赤黒くてツヤツヤしています。それらしきものを見つけたらここに持って来てください。ちゃんと戻って来られるように散策してください」


 茶色マントのおじさんは小さなテーブルの上にカゴを置いた。そこで持ってきた実が合っているか確認するらしい。

 皆、ハイピの実の実物がどんなものなのかよく知らないようだ。そこら辺になっている身近な実ではないようだ。首をひねりながら、森の奥へと入って行く。


(【鑑定】があるから何とかなるよね)


 私も森の奥へと足を踏み入れた。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ