第六章 贖罪
その頃、国民たちの企てた反乱計画の準備は全て整っていました。決行日は明日の朝。各々武器を持ち、城へ攻め混むという単純な計画でした。
女王に不満を抱く国民で構成された反乱軍のリーダーの男は、集まった人々に言いました。
「明日、我らは憎い女王を討つ!くだらぬ幻想にとりつかれ、我らの生活を苦しめた罪は重い。国民たちよ、立ち上がるのだ!力を合わせて戦おう!」
男の言葉に国民たちは「おお!」と声をあげて答えました。反乱軍のなかには男も女も老いたものもいました。
みんな、自分達が生きていくために女王と戦う覚悟を決めた者ばかりです。
「女王を倒せ!女王を倒せ!」
国民たちの大合唱は大きくなり、あたりに響き渡っていきます。もう、彼らの怒りと勢いを止めることはできません。国民たちは女王に対する憎しみ、女王様はお菓子の城と男のことで頭がいっぱいでした。
こうして、それぞれの思いを抱えたまま、夜が明けていったのでした。
明くる朝。男が慌てて女王様のもとへ走ってきました。
「女王様、お逃げください」
「国民が城へ攻めてきます。あなた様の命を狙っているのです!」
そこで初めて、女王様は国民の不満に気づきました。
男が女王様に城を脱出するよう促しても、女王様は逃げようとしませんでした。
「私は逃げも隠れもしない」
女王様の声は凛としたものでした。
「甘んじて国民からの罰を受けるとしよう。私の馬鹿げた計画のせいで国民たちに迷惑をかけてしまった。私は約束を守ることにこだわり、周りが見えていなかったのだ」
男の顔は泣きそうなくらい歪みました。
国民たちの怒号が外から聞こえてきます。
「私は女王様にお話しなければならないことがあります。あの日、女王様とあの約束をしたのはこの私でございます」
「そうか」
女王様は穏やかに笑いました。
国民たちと城を守る衛兵たちが衝突しているのが、窓から見えました。
「やっぱりそうかと思ったよ。お前とは、初めて会った気がしなかったから」
男は女王様を力強く抱き締めました。
女王様も男を抱き返しました。
「来てくれたのだな、私のところに」
「はい、約束ですから」
反乱軍の数は衛兵より圧倒的に多く、衛兵たちは次々と倒れていきます。
「門をこじあけろ!」
リーダーの男が叫ぶと、大きな砲台を男たちが数人がかりで押してきました。
「撃てっ!」
男の指示で、大砲からは弾が轟音をたてて放たれ、城の固い門は破られました。
めちゃくちゃ久しぶりに更新しました。