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第三章 思い出
王女様は少年の言っていることがよく分かりませんでしたが、少ししてぴんときました。
「焼きもちやいてるの?」
少年は顔を赤くして「はい」と答えました。
「ごめんなさい……。僕なんかこんなこと言う身分じゃありませんよね」
「そんなことない!」
王女様は少年の手をとり叫びました。
「私は王子様となんか結婚しないわ。だって私はあなたのことが好きなんですもの。私が将来結婚するのはあなただけよ」
王女様の言葉に少年は目を丸くし、次第にその顔は赤くなって行きました。
「僕なんかで良いんですか?」
「もちろんよ」
戸惑う少年に王女様はにっこり微笑みました。
少年も笑顔になりました。
「ありがとうございます。王女様」
「約束しましょう。お菓子の城はいつか私が完成させるから」
「はい、王女様」
2人はそんな約束を交わしました。
しかし、少年の父が城の使用人の仕事を辞め、少年も父と一緒に城から姿を消してしまいました。
王女様は悲しくて3日3晩泣き続けました。