第一章 約束
初めて投稿させて頂く胡蝶蘭と申します。
誰かと交わした大切な約束、そしてそれを何としてでも守ろうとする女王様をどうか見守っていただければと思います。作品に関する感想、ご指摘があれば、是非頂きたいです。
昔々、あるところに一人の美しい女王様がいました。
女王様はお菓子が大好きで、いつも午後には一流の菓子職人に作らせた美味しいお菓子を食べるのがとても楽しみでした。
お菓子を食べているときの女王様は幸せそうで、菓子職人たちにとってもそれはほほえましい光景でした。
さて、そんな女王様にはどうしても忘れられない思い出があります。それは女王様が、まだ幼い王女様だったときのこと。
当時城に仕えていた使用人の息子で、よく王女様と遊んでくれていた少年がいました。少年は平凡な顔立ちでしたが、その頃の王女様にとっては白馬に乗った王子さまよりも、その少年の方がとても魅力的に映りました。
王女様はその頃からやはりお菓子が大好きで、お城の庭で少年と仲良くお菓子を食べていました。その時に何を食べていたのかも女王様ははっきりと覚えていました。女王様の大好物のカップケーキです。
「私ね、大きくなったらお菓子の城をつくりたいの」
舌足らずの声で、幼い王女様は言いました。