28歳の現実
本当に、なんかすみません。でも、言いたくなったのです。
小説では、ないですね。
車で走っていると大きな桜の木が見えた。相田春奈は車を路肩に止め、外に出る。花が散りつつある桜の木を春奈は眺めた。緑も多くみられるが、それでもそよく風が降らせる桜吹雪は綺麗だった。
桜を眺める春奈の隣に手を繋いだカップルが並んだ。2人そろって空を見上げる。タイミングよく風が吹き、ピンクが舞い落ちた。若いカップルである。春奈は微笑ましく、そして少し羨まし気な表情で彼らをみつめた。
一つため息をつき、春奈は車に戻る。乗り込んで、外を見た。先ほどの可愛いカップルはまだ桜を見上げている。時々見つめ合う姿は、「恋人」という言葉がふさわしい。
「…どうしてわたしばっかり何もないんだろう」
思った言葉は、無意識に口から出ていた。
エンジンをかけず、春奈はハンドルに頭を軽く乗せた。ふと自分の歳を数えてみる。28歳。それは、若いと言えば若いが、恋愛の面では決して若くはない年だった。春奈の口から自然とため息が出る。無意識に出たそれに、春奈はさらにため息をついた。
「彼氏ってどうやったらできるわけ?」
28歳の春奈は今まで誰かと付き合ったことがない。告白をしたこともなければ、されたことだってないのだ。漫画で見るように、大家族だから恋愛をする暇がなかったとか、貧乏で働くしかなかったとかそんな特殊な事情は持ち合わせていない。ただ単に、何もなかっただけだ。片思いはあったが、自ら動くことはなく、片思いされたことはない。みんなが当たり前にしている恋愛を自分だけができていなかった。少し前までは、若いのだからと自分に言い聞かせてきたが、それももう通用しない。苦しくなった胸を春奈は少し撫でた。
合コンに行けば、頑張って盛り上げた。けれど、蓋を開ければ自分だけ何もなかった。誰にも見向きもされない自分は、不良品のように思えてしまう。最近では、ネットを開けば、「彼氏ができる方法」を調べ、恋愛運を探る。今、彼氏ができるという怪しげな壺を目の前に出されれば買ってしまう自信が春奈にはあった。そしてそんな自分にまたため息をつくのだ。
「恋がしたい。愛されたい」
声に出すと泣きそうだった。何がいけないのだろうと自分を振り返る。顔は、可愛くないが可愛くないわけではないと思っていた。性格だって、良くはないが悪くはないはずである。太っているわけではないし、バカではないつもりだ。正規の職員として仕事をこなし、合コンにも参加した。それなのに、いつも自分だけが何もない。
夢を見ている自信はあった。白馬の王子とまではいかなくても、いつかきっと素敵な人が現れるのだと。その人に告白されるのだと漠然と思っていた。けれど、自分の魅力とは何だろう。可愛いわけでも、性格がいいわけでもない。仕事を頑張っているわけでもなければ、ほかの趣味をしているわけでもない。ただ、毎日起き、仕事に行き、家に帰る日々の繰り返し。春奈には自分に誇れるものがなかった。
「あ~あ。死んじゃいたい」
ハンドルに頭を預けたままそう呟く。けれど、もちろん死ぬ気などないのだ。すべてが中途半端だった。
本当に彼氏が欲しければ、婚活でもなんでも始めればいい。手当たり次第に告白すれば頷いてくれる人もいるかもしれない。もう歳だと思いながら、子どものように素敵な未来を待っているだけだった。
「幸せになりたい。けど、動くのは面倒くさい」
春奈はそう言って頭を上げた。エンジンをかけ、車を動かす。
漫画や小説のように素敵な出会いなどそうそうあるものではない。落ちたものを渡しに追いかけてくれる人もいなければ、車をぶつけられた人がイケメンだったなんていうイベントもありはしない。だってこれは現実だから。夢みたいな出会いはないし、誰にも好かれない人も必ず存在するだろう。それが自分だったのだと春奈は思う。寂しいし、悲しい。愛されたいとひどく思う。けれど、何をすればいいかわからず、いざとなれば踏み込むのが面倒くさい。そのくらいの心持ちなのだ。
「…そんなんじゃあ、何か起こるはずないよね」
自嘲気味に春奈は笑う。
「漫画でも買いに行くか」
そう言って春奈はまた日常に帰って行った。何もない。けれど、楽しい一人きりの日常に。
こんなでも久しぶりに文章が書けて楽しかったです。ここで誰かと出会って恋をしてって言うのならきっと小説になったのでしょうけれど、でも、現実はそんなことなくってたぶん、本屋に行って甘い甘い漫画とか買って、「ふぁ~」ってなって…。みたいのがきっと現実なのかなって。夢がなくてすみません。
次は「小説」を書きたいと思います!!読んでいただき、本当にありがとうございました!!!!




