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人の身にして精霊王  作者: 山外大河
七章 白と黒の追跡者
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ex ウォーミングアップ

「うっわ、成程そう来るかー。枷付けてるのに精霊術使うとか……うーん。うまいこと出力形式変えてきた感じかなぁ。で、それがエルちゃんの特異性っと。何にしても私行かなくて良かったー嫌な予感してたし」


 手にしていた宝石のような物を眺めながら、何処かに移動中のルミアはそんな考察を展開する。


 彼女が手にしていたのは自信が開発した新型の枷のコントローラーだ。

 精霊の精霊術を押さえるだけでなく、枷を嵌めた精霊の精霊術を70%近い精度、出力で再現する、自分やシオン、そして極一部の研究者と違って、契約した精霊以外の精霊術を低クオリティーですら使えない才能の無い頭の悪い一般人に向けた新技術。

 精霊を武器に加工する技術と同等かそれ以上の価値のある精霊学の結晶。

 それでシオンの契約精霊とエルの精霊術を、先程までルミアは一時的に使える様になっていた。

 引き出せば理論上精霊側に激痛が走るのだが、そんな事はルミアにはどうでも良くて。寧ろ嗜虐心が満たされて。とにかくそんな状態でエルという精霊のおおよそのスペックを調べたり、シオンの位置情報を調べたりしていた訳だ。


 その反応が消えた。消える前に異質な反応を示した事から、おそらくそれが報告にあった力なのだろうと察する。


「……っと、そうなっちゃったらほんとやる事手早くやっちゃおう。ゆっくり待ってる場合じゃ無くなった」


 そして軽く走り出したルミアは立ち止まると、神経を集中させるように瞼を閉じる。

 それが大体30秒程続いたところで、目を開いた。


「よーしやる事終わり! いやーこれが簡単にできるあたり私ってほんと天才だわー」


 そう言って笑ったルミアは、どこか楽しそうに言う。


「いや、駄目だね。慢心は良くないよ、ほんと良くない。慢心してドヤって馬鹿みたいに惨めに負けたシオン君みたいになりたくないしねー」


 と、そこまで言って、尚も楽しそうに笑うルミアは、そのまま少し気合いを入れるように言う。


「よし、じゃあゆっくり待つ予定から変更して、私から動きますか」


 そう言って体を伸ばしたルミアは歩き出し、そして言う。

 本当に楽しそうに。


「さぁ、ウォーミングアップだ。待っててね、エルちゃん」


 純粋な悪意の塊が動き出す。

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