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人の身にして精霊王  作者: 山外大河
七章 白と黒の追跡者
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74 突入戦 Ⅲ

「あああああああああうん! まあこれはこれで風が気持ちいいいいいいいいいいッ!」


「お前頭イカれてんじゃねえのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」


「落ち着け落ち着け落ち着け、僕落ち着けええええええええええええええええええッ!」


「シオンお前が一番落ち着いてねえええええ! なんか色々ぶっ壊れてんぞおおおッ!」


 数秒後、俺達は空中に超スピードで投げ出されていた。

 タイヤが地面に付いた瞬間、俺達を乗せたバイクは超加速した訳だが、ただでさえあのスピードを乗り回す事すら難しいのに、無重力や特殊過ぎる発進方法等が合間って、動き出して早々バランスを崩し進行方向は大幅にバイクを傾けながら訳のわからない方向に。

 人体が地面スレスレまで接触するという冗談抜きで死にかける事態はなんとか運良く乗り越えたものの、そんな体制で宙に放り出されればバイクに股がっているなんて状態になっている訳がなくて。

 気が付けばバイクのハンドルからレベッカの手は離れ、俺達三人は無重力で減速しないまま空中に放り出されて居た。


「くそ! まずいまずいまずいまずいいいいいいッ!」


 遠距離攻撃での追撃は来ない。

 多分連中を撒くことには成功している。

 それはいい。

 だけど思った以上に無重力化で高速で空中に放り出される事が。

 そしてこうなるまでに冗談抜きで死にかけた事が、肉体的にもメンタル的にも酷くキツい!


「え、エイジ君! とにかく軌道修正だ!」


「お、おう! 分かってる!」


 俺はレベッカから片手を離して精霊術を発動。

 左手から風を噴出させ、反れた起動を目的地に向けて調整する。


「よし! 軌道は直った!」


「ナイスだエイジ君!」


「後は突っ込むだけだ!」


 言いながら少しでも心を落ち着かせようとする。

 出鼻を挫かれた。想像以上の速度と浮遊感の様な謎の感覚にメンタルを持っていかれる。

 それでもバイクは失ったとしても、目的の方向に向けて超スピードで飛ぶという事には成功している。

 今の現状はほぼ規定路線なんだ。

 だったら歯を食い縛れ。こればかりは理不尽でも何でもなく、自分達で考えた策なんだ。

 全うして見せろ!


「エイジ! そろそろ!」


「ああ!」


 追っ手が戻ってくるまでの時間を少しでも稼ぐためにギリギリまで全速力で進み続けたが、ここから俺の風で減速、着地を試みる。

 細かな調整とかはシオンとレベッカに任せた。


「止まれえええええええええええええええええッ!」


 俺は前方に全力で風を噴出させる。

 すると緩やかにだが俺達の飛行速度が落ちていくのが分かった。

 そして全員が辛うじて着地できる速度まで減速した所で俺達は手を離し、各々が滑る様に地面に着地する。


「……よし! うまく行ったわね!」


「いやどこがだよ、バイク多分大破してんぞアレ!」


「……後で一緒にエリスに謝ってね?」


「……お、おう」


 まあ普通に成功しても後でバイク回収出来たか分からないし、この案一緒に考えたの俺だからそりゃ一緒に謝るけどさ。


「い、生きた心地がしない……」


 隣りではシオンが青ざめた表情でそんな事を呟くが、すぐに今まで通りの調子を取り戻したように言う。


「……でも、生きてる。とりあえずうまくいったね。僕が何もする事無く作戦成功だ。連中が戻ってくるまでの時間もいくらか稼げたはずだよ……結構戸惑って硬直してるのが見えたからね」


 そう言ってシオンは拳を握りしめる。


「じゃあ二人共、覚悟はいいかい?」


「無けりゃ此処にいないでしょ」


「ああ。絶対助け出すぞ」


「……よし。じゃあ行こう。突入開始だ」


 そう言って俺達は正面からルミア・マルティネスの研究所へと突入する。

 ……待ってろエル。今行く。

次回から7章後半戦突入です。

此処まで長かったですが此処までこれました。よろしくお願いします。

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