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人の身にして精霊王  作者: 山外大河
四章 精霊ノ王
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ex 総力戦 Ⅳ

ここに来ての敵視点

 化け物だと、目の前で暴れ回る少年を見て、精霊を捕らえるハンターの男はそう思った。

 大剣を構える少年がどれほどの脅威と成り得るかは、信号弾が放たれた地点を通過した際に大雑把にその場で起きた事を精霊術で探った結果や、そもそも全勢力をこの程度の数の相手にぶつける指示が出ていた時点で察していた。

 だがしかし、これほどまでとは思わなかった。


「冗談じゃねえぞ……ッ」


 速度。攻撃力。どれをとっても段違いの強さを誇るが、ある程度肉体強化が耐久力に割を振ってる者なら一発はどうにかなっている事が多いし、結界で勢いを僅かにでも殺せればどうにかなる確率もあがる。

 数の暴力で速度による回避をある程度無効化させ、距離を詰めていようと離れられようと攻撃を放ち喰らわせる事は出来ていた。

 だがしかし、目の前の少年はまだ立っている。憔悴しきった事を一目で分からせるほどの空ろな瞳。全身から血液が溢れ出すという表現が間違いではない様に思える程の出血量。そんなどう考えたって立っている様なおかしい状態で、少年、瀬戸栄治は立って男を見据えている。


 最後の一人になった男を見据えている。


 結論だけを言えば耐久力が異常だった。どれだけ切り裂いても。どれだけ矢や精霊術を打ち込んでも。どれだけ鈍器で殴りつけても。それでも彼の意識が落ちる事は無い。

 未だに辛うじて、その意識を保ち続けている。 


 動きは鈍り、文字通り辛うじて立てている少年に対し、男は未だ軽傷。普通であれば勝利を確信できる筈の状況下なのだが、男にはもう勝利への道筋が見えなかった。

 今の憔悴しきった状態の相手にならば、おそらく五割程度の確率で攻撃を与える事が出来る。だけどその先がまるで見えない。完全に詰んでいる様な、そんな状況に思えた。


 精霊と戦っている連中の援護は期待できない。元より作戦は抵抗してくるであろう精霊を抑え込みつつ、少年を孤立させて一気に叩くというものである。故に戦力で勝るというある程度の戦力がまだ倒し切れていない精霊を無視してまでこちらに援護を打ち込む事は無いだろう。


 となれば詰みだ。本当に詰み。自分が倒されるのはもはや確定事項の様な事で、そして自分を倒した目の前の少年は精霊と戦っている連中にまで矛を向ける。そう、もはやそれは確定事項だ。直感がそう告げてくる。

 だけど逃げるわけにはいかなかった。逃げてはいけないと思った。


 元よりこの戦いは、精霊を捕まえると言った利益の為の戦いではない。

 そして自分達の狩り場を荒らす者への鉄槌を下すという理由でもない。


 ただ単純に、目の前の人の道から外れた様な少年をそのまま野放しには出来なかった。

 被害が自分達だけで済んでいる内に、あの脅威を止めておく必要があると、そう考えた。

 そう、止めなければならないのだ。もはやそれは使命感に近い。

 人が人に優しい世界で、彼が育んできた人間性がそうさせる。


 だから動いた。精霊術で力を付与させたバタフライナイフを両手に真正面から突っ込んだ。

 少年の反応は鈍い。万全の状態では当たらないであろう攻撃が、少年の腹部を掠る。

 だけど掠っただけだ。一対一で攻撃をなんとか躱せる位には、少年の意識は残っている。


 辛うじて躱した後、切り返してもう一度攻撃しようとしている男よりも早く、大剣を打ち込む事位は出来る。


 そして大剣という鈍器で薙ぎ払われた男は地面を転がり、地に倒れ伏せる。

 薄れゆく意識の中で彼の瞳に映ったのは、ふら付いて倒れる少年。そしてそこから再びゆっくりと起き上がる化け物。

 そして次の瞬間、超高速で動きだした様に少年の姿はその場から消え、男の意識も掻き消える。


 少年の意識はまだ消えない。

 一度戦闘シーン全部書いたけど、ただでさえ中だるみが酷かったのでこういう形に。それが正解なのか失策だったのかは分からないけど、なんかこう、これでいいのか自分でも分からなくなった。

 場合によっては手直しするかもしれない。そういう話でした。

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