第八話 空席
☆翔side☆
となりは空席。
いままでこんなことはなかった。
12月になり、風邪が流行り始め、鈴谷もその影響を受けたせいだと思う。
「はぁー・・・」
あのおっさんの授業はほんっとうにつまらない。
世界史のどこがおもしろいんだ・・・
あのヅラがとれたらきっとおもしろいだろうけど・・・
退屈しのぎにペン回し。
いつもだったらあのハゲにバレないように鈴谷とノートの端で筆談をするところだけど、欠席だとやることがない。
暇すぎる。
そういえば、一ヶ月くらい前に騒いで怒られたっけ?
懐かしいなぁ・・・
教室を見回してみると、半分くらいは真面目に話聞いたりノートをとったり。
でもこの世界史の教師はすごく授業がつまらない。
だから、一部の女子はバレないようにこそこそ話したりとかもしている。
鈴谷と隣の席になってから、教室を見回すことがなくなった気がする。
なんか久しぶりに見た風景だ。
きっと鈴谷のことしか見てなかった。
鈴谷に夢中だったのかもしれない・・・
そのくせにできたことはほんの少しで・・・
悩んでいる時も、鈴谷の親父さんの命日の時も、
力になれていない。
姉さんに会わせるって言ってそれきりだし・・・
ふと外を眺める。
今にも雨が降りそうな灰色の雲・・・
そういえば、鈴谷も悩んでたときこうしてたっけ?
何をしていても思い浮かぶの人は同じ。
今はどうしているだろうか?
「ん・・・?」
空からぱらぱらと、なにか小さいものが落ちてくる。
・・・雪?
「・・・あれ?雪?」
「あ、ほんとだー!」
俺以外にも雪に気づいた人がいるみたいだ。
っていっても小学生くらいワクワクしているのはきっと俺だけだ。
黙って外を眺めているだけに見えるけど、できるものなら今から外に飛び出したいくらい。
しばらく経つと、クラスのほぼ全員が雪に気づいて、また授業中の静けさを取り戻していた。
でも授業は大して面白くないから空を眺める。
雪が降る姿も面白くないけれど、飽きないものだ。
なんか吸い込まれそうな感じ・・・
その吸い込まれそうな感じの中、考え事をしているうちに、いつの間にか眠っていた。
痛っ・・・
「おはようございまーす」
頬が痛い・・・
「もうお昼ですよー?」
「ん・・・」
目を開けると、沢村が俺の頬を思いっきり引っ張ってた。
ドSって本当に容赦ない・・
「痛いです、お姉さん」
「未来がいないと相当寂しいのね、」
「寂しくなんかねーしっ」
「本当に嘘が下手くそ」
「・・・で、要件は?」
「さみしいですか?さみしくないですか? この選択肢でどっちを選ぶかで決まります。」
「・・・さみしいです」
正直言うと・・・寂しい。
寂しいというよりはつまらないに近いけれど。
「じゃぁ決まり、今日一人で帰らないでね? 下駄箱で待ってて」
「は? どういうこと?」
「それは来てからのお楽しみー♪」
「・・・わかった」
すげー楽しそうにニコニコしてるけど、
ドSは何するかわからない・・・
気を付けないと。




