第三話 ため息
「はぁ・・・・・・」
――楽しい昼休みのはずなのに・・・
未来は先生に職員室に呼び出され怒られたことを未だに引きずっていた。
得意な教科だったら良かったのだが、ニガテな世界史で怒られたため、少しでも世界史の成績にダメージを与えないように過ごしていたものの、騒いだため職員室へ呼び出される始末。
――こんなんじゃ、お父さんに怒られそう・・・
窓から空を眺める。
秋の空は青く澄んでいてとても綺麗だった
「鈴谷、食べねーの?」
翔が少し心配そうにやきそばパンを食べながら未来を見つめる。
「ううん、なんでもない」
机を向かい合わせて昼食を摂るのはいつものこと。
結と三人だったりもするが、最近は彼氏と食べることが増えたため、今日も二人きり。
「沢村もリア充かぁー・・・俺も高校生のうちに彼女つくろっ!」
「…実は小田君それなりにモテるんだけどな・・・」
ぼそっとつぶやく。
未来以外にも翔が好きな人はほかにも何人かいるのを聞いたことがあった。
「ん? 何か言ったー?」
「いや、私も高校生のうちに恋愛しておかなきゃだなーと思って」
「だよなー、やっぱ高校生活思いっきり楽しまなくちゃいけない。・・・ってことで、今日から“ため息禁止”っていうルールはどうだっ!」
「え?」
――ため息・・・聞こえてたんだ・・・
「ため息は禁止、悩んでることがあったらお互いに相談する、」
「ん・・・なんか楽しそう♪」
「だろっ?」
「ありがとう」
「ん? 何が?」
きょとんと首をかしげる。
「朝も今も、心配してくれてたんだなーって」
「まぁな、“友達”を心配するのは当たり前のことだろっ!」
無邪気な笑顔に元気づけられるのと同時に、“友達”という単語が胸に突き刺さる。
「そうだね、小田君も悩んでることあったら相談のるから言ってね♪」
「おぅ、サンキュ♪」
「まぁ、今落ち込んでたのは世界史の授業で小田君が大声で叫んだからなんだけどねー、」
「は? 鈴谷を心配してやっただけだっつーの、卵焼き没収な、」
未来の弁当箱からたまごやきを手づかみでとり、おいしそうにほおばる。
――悩みを作らせてるのは・・・全部小田君なんだけどな
「・・・うまい・・・」
「そう? ありがと♪」
「・・・たこさんウィンナーも頂戴?」
最初は断ろうかとおもったものの、翔が子犬のような瞳で見つめてきたため
「・・・いいよ、あげる」
「マジ!? やったーっ!!!」
年も同じで背も未来より高いのに、
幼い性格から
「・・・なんか弟みたい」
思わず年下みたいで笑ってしまう。
「・・・うるしゃい」
「はいはい」
未来はまた心配してくれる彼に惹かれていく
でも、自分のことなんか好きなんじゃないんだから。
そういう気持ちも隅にある。
今は付き合えなくていい。
彼氏としてじゃなくていい。
“友達”としてでも、そばにいて微笑んでくれれば・・・




