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銀色と月  作者: 藍乃*
Ⅱ dark moon
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第二十一話 自由

彼にそんな過去があったとは・・・

未来は鍵を見つめるも、後ろで付けられているので取れそうにない。

きっと蒼真も混乱していたのだろう。

多重人格とも思える性格の変化とは言え、あんなふうに取り乱す姿は初めてだった。

彼の過去がまだ気になっていた。

言われるまでは思い出せなかった、彼の存在。

小さい頃に一緒に遊んでくれた年上の男の人がいたのは、かすれた記憶だけれど、覚えていた。

もちろん、その男が蒼真だったという部分は消えてしまって、優しい男の人だったことしかわからない。

そう思うと、彼は本当に悪い人なの・・・?

謎が残る。


――12月22日


窓のないコンクリートに囲まれた部屋では、疲れもたまらず未来は眠れないまま、時計を見ると朝。

こんなに太陽をあびないでいたら体内時計がそのうち狂いそう。

それに外の状況は何もわからない。

わかったことはこのコンクリート囲いの部屋の隣にもう一つ部屋があり、そこでは蒼真が生活していて、またそこは外にも通じているということ。

それ以外はここがとこで、この建物にはほかの部屋があるのかなどわからないことばかり。

ただ寝て起きて暮らす。 天気さえもわからない。


蒼真は出かけているのか寝ているのか、それとも昨日はかなり精神的に疲れ部屋でじっとしているのか、重たいドアで閉ざされた向こうで何が起きているのか知らない。

何か知りたいと思い、未来は腰を下ろしていたベッドから立ち上がりテレビのリモコンが置いてあるテーブルまで歩いていく。

なんとか足かせの鎖は届いた。が、ピンと張っているのでテレビの電源は直接入れられない。

しゃがんで後ろで止められた腕でリモコンを手に取り電源を入れる。


テレビはたまたま教育番組に設定されていたらしく、幼児向けの番組がやっていた。

たった何日のあいだなのに、すごく久しぶりな感じがして…

そして自分がいなくても、世界はしっかりと回り続ける。

きっとこのまま私が死んだら世界はこのままであり続けるのだろう。

多少はニュースや新聞とかで騒がれたりするかもしれないが、何日か経てばそれは人々の記憶からは消えていく。

それが未来には生々しく感じた。


チャンネルを一応一周見て回る。

自分の家とはさほど変わらなかったから、家とこの建物はどうやら近いらしい。

どこもクリスマス特集などをやっているが、未来はそんな場合じゃない。

ちょうど特集が終わり、今朝のニュースに切り替わった。


『●●県で、殺人事件が起き、女子高生が行方不明になっています…』

「あ…」


画面に映し出されたのは、一昨日運命を分けることになったあの公園。

警察の人がいっぱいいて、得に蒼真が現れた木のあたり。

あそこは見知らぬ男の人…いや、彼曰く真犯人が死んだところだ。

そして、画面には男の人の写真と未来の写真が映し出され、それぞれ横に名前、年齢等が書かれている・・・

その個人情報は紛れもなく未来のものだった。

そしてその男の人の名前は見逃してしまったものの、一昨日は薄暗くて見えなかった顔はなんとなく見覚えがあった。


「警察が探してる・・・」


そう呟くと同時に後ろから声が聞こえた。


「そう、今からが本番」

「・・・・・・っ!?」


スマートフォンをいじりながら壁に寄りかかっている蒼真だった。


「おはよう・・・ございます」

「おはよー、眠れた?」

「いえ・・・」


くすくすと面白そうに、まるでスマートフォンはおもちゃのように。


「あの・・・」

「んー?」

「鍵をいただけたのに・・・自分で開けられなくて」


そういうと、やっと画面から目を離し、未来の方を向く。

そして少し苦笑いをして


「あぁ、ごめん」


ポケットにしまい、未来の鍵を解く。

これでコンクリートの部屋の端から端まで行くことができる。

未来本人は、監禁生活三日でもちろん逃がしてはもらえないないだろうが、こんなにも簡単に解いてもらえると思っていなかった。

それなりに信用されてるのかな?とも思ったが、彼は、

『未来ちゃんが拐われた理由は何だと思う?』

そう言った。

だからきっとそれと関係があるのだろうと考えているうちに、未来はまた少し自由を手に入れた。


「お腹すいた?」


そういえば、昨日のおにぎり以外まともに食べ物を口にしていない。

お腹がからっぽだけれど、空腹は感じていないので気づかなかった。

でも彼のその一言で、未来は急にお腹がすいてきた。


「はい」

「そっか、おいで?」


そう言って彼が招いたのは、今いるコンクリート部屋と厚いドアで閉ざされた蒼真の部屋だった。

未来が驚いてきょとんとその場に立ち尽くしていると、


「この建物のこの部屋にはちゃんと料理できる設備をつけたんだよ」

「え?」

「昔、お菓子作ってもらったお返し、まだしてないからね」

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