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銀色と月  作者: 藍乃*
Ⅱ dark moon
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第十八話 昔話《前編》

――12月21日 夕方


未来は昼頃目覚めた。

それまでは寝ては起きてをくりかえしていたのだが、夕方になるとそれはさすがに嫌になってきた。

蒼真が現れる気配もなく、ベッドの上で空腹に耐えていた。

もう正常な人だったら食べている食事を三食とっていない。

いつになったら彼は現れるのだろうか…

窓がないため外の景色も見えない。部屋も殺風景。ただデジタル時計を見つめる。


「…お腹すいた?」


ドアが開き、蒼真が現れる。

その手にはコンビニのレジ袋。


「……」


未来は起き上がり、ただ蒼真を見つめる。

恐怖や空腹や不安や…色々な感情が混ざり合い、声を出すことを諦めた。

しかし、彼女なりに視線で訴えているつもりだ。


「ごめんね、いろいろやってたら遅くなった」


そう言って蒼真はコンビニおにぎりのツナマヨネーズの包装をとって、彼女の口元に持ってくる。

未来は手錠で両手が不自由になっているから、


「…」


未来は食べようとせずただ目をそらした。

お腹はすいているけれど、自分を監禁している犯人から食事をさせてもらうのもなんとなく嫌。

そして、このままもう少し我慢すれば手錠を外してもらえるかもしれない期待に、ちょっとかけてみた。


「ちゃんとご飯食べたら全部話す。 鈴谷さんのことも、どうして俺が未来ちゃんを監禁しているのか…」

「本当?」

「あぁ、それに僕は意味があって未来ちゃんを監禁してる。だから餓死してもらっちゃ困る」


蒼真の真剣な瞳を未来は少し信じてみようと思った。

そろそろ空腹も限界だ。

未来は蒼真におにぎりを食べさせてもらった。


「ありがとう」


にっこり微笑む。

今までと違う、悪を感じない純粋な笑顔。

未来の心の0.1%くらい、この人を信じてみようと思った。

食べ終わると蒼真は未来のベッドのそばに椅子を持ってきて話し始めた。


「公園で殺した人、いるでしょ? 死体でさっき見つかったみたい」

「……」

「この話は後でいいや、この前言った、俺は鈴谷さんを殺してないって話。」


口に出したらまたどんな怖い目に合わされるかわからないので、心の中では思っていた。

この人は絶対犯人だと、


「簡単に言うと、俺は濡れ衣を着せられてるわけ、でも真犯人を捕まえたいと思ってる」

「……」

「何もできない、人間のクズみたいな俺を雇ってくれた。こんなことしてたら未だにクズも同然だけどさ」


そう言って苦笑いをする。

どこか諦めたような言い方だった。


「どんな手を使ってでも犯人を探し出す。だから、協力者が必要だった…」

「それで私をつれてきたってこと?」

「あぁ、俺の気持ちを理解してくれるのは未来ちゃんくらいしかいない」


そう言って一区切りすると、蒼真はペットボトルの水を一口のんだ。

未来はもう一本の水を勧められたが断った。

特に理由はないのだけれど。


「一人でやればいい…なんで私を巻き込んだんですか?」

「君も心のどこかで思ってるんじゃないの? お父さんを殺した犯人に復讐を…そう思って俺のこともよく知ってるんじゃない?」

「…思ってます。」

「それに、未来ちゃんは覚えてないでしょ、俺とよく遊んでたこと」

「え…?」


脳の隅から隅まで記憶をたどったが、見つからない。

彼が嘘をついているようにも見えない。


「まだ未来ちゃんが7歳の時、休憩時間にね」

「覚えてない…」

「きっと君の母親は俺のことを話したがらないだろうね、働いてたころからもう嫌われてたし」


少し悲しそうな口調だった。

まるで昔話を語っているような口調でもある。


「これだけ話しても、ちょっと俺のこと疑ってるでしょ、怖いことしないから正直に答えて?」

「…さっきよりは信じてます。でも100%じゃありません」

「そっか…もっと詳しく聞きたければ話すよ?」


未来は頷いた。

元々、事件の真実を知りたくて、美紀から話を聞いたのだから。

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