第十六話 公園
一部流血表現あり
――12月21日 放課後
部活動の声が響いてくる学校前のバス停からバスは発車した。
バスの中は人が少なく空いており、後ろの方の座席には制服を着た男女二人が座っている。
周りから見れば恋人同士に見えなくもないのだが、どちらも口を開かず黙ったままなので仲が良さそうには到底見えない。
どこか真剣さのある空気をまとっている。
やっと会話をしたかと思えば
「次、降りるわよ」
「心配するな、いい加減覚えたから」
たったこれだけ話すと公園前でバスを降りていった。
「で、未来はいつもここで降りてるはずよねー」
「あぁ、行方不明になった当日はともかくいつもはここで降りてるはずだ」
「公園とかちょっと怪しそう…」
結は公園へと足を踏み入れる。
ここの公園はバス停があるわりに、遊具が古く木も大きいものがたくさん生い茂っていて暗いイメージの公園。
遊んでいる子供たちは全然いない。
「相変わらず根暗な公園ね」
「こんなんじゃ人通りも少ないだろうな」
翔が錆び付いたブランコに腰を下ろすとキィと不気味な音を立てた。
「…なんか怪しい」
「ん?」
結は地面を見たまましゃがみこむ。
その隣に翔もしゃがみこんで地面を見る。
「全然変じゃねーけど?」
「あんた馬鹿でしょ、ここみなさいよ」
結の指差す先をじーっと見ると、ブランコを支えている支柱のコンクリートに赤い点がついている。
たくさんではなく点々と、鉛筆の先くらい小さい赤。
「ペンキじゃない、こんなボロいんだから」
「まさか…鈴谷のか!?」
「可能性もないとは言い切れない…」
心配そうにしているのは感じられるが冷静な結とは逆に、翔は焦りそのものが伝わってくる。
「まだこの公園を探してみる価値はありそうね…」
結は立ち上がるとまた公園の中をうろうろし始めた。
しかし翔は赤い点をずっと見ていた。
この点を血と認めたくない。
もし血だとして、未来のものだと思いたくない……
ぱっと顔を上げた瞬間、太陽の光を反射している鏡かプラスチックの物体があるのに気づいた。
近くに行き拾い上げてみると、画面はひび割れているが小さなクマのぬいぐるみがついた可愛らしい携帯だ。
「……これ鈴谷のか?」そう聞こうとした瞬間、
「きゃぁあああああああっ!!」
「…っ!?」
悲鳴の主は結だった。
驚いて振り返るとさっきまで冷静だった結が腰を抜かして座り込んでいた。
翔はなにごとかと駆け寄る。
「どうした!?」
口が聞けないほどなのか、結は震える手で指差す。
結の指差す先にあったのは…
血まみれで倒れている人。




