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銀色と月  作者: 藍乃*
Ⅱ dark moon
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第十五話 祈り

――どういうことだ?


鈴谷と俺はバスでわかれた。

ということはそのあと、鈴谷の身に何かあったのか?


「えっと、俺と鈴谷さんとはバスで別れました」

『そう…なんか変わった様子とかありました?』

「いや、とくに変わったことはなにも…」

『ありがとうございます、何かあったらまた連絡お願いします。』

「はい…」


翔は受話器を置く。

さっきまで一緒にいたはずなのに…

彼女はどこへ?



――翌日 12月21日


朝学校へ行くと、当然の如くとなりは空席。

表向きは風邪で欠席になっているが、実際は行方不明…

この事実を知る者は、クラスメイトでたった二人だけだ。

すると授業中、おりたたまれたノートの切れ端が飛んでくる。

端には“結”と書いてある。

手紙を回すには少し距離があるが投げるにはいい距離だ。

といっても結のコントロールは素晴らしいが。


「なんじゃこれ?」


教師が黒板を向くタイミングを見計らって紙を開く。


『未来のことについて話したい。

だから、今日は昼一緒にどう?』


最初、未来が行方不明であることは自分しか知らないと思っていたが、

この手紙が回ってきて未来と結は親友である…

だから結も行方不明であることをきっと知っているだろう。

そう考え結を見ると目があったため、敬礼をして了解の意を示した。



――同日 昼休み


「昨日おばさんから電話あったのよ、だから小田君なら知ってるかもって伝えたんだけど…」

「だからか、急に友達の親から電話かかってきてめっちゃ焦ったんだからな、初コンタクト電話って…」

「え、未だに友達だったんだ、もう付き合ってるんだと思ってた」

「あー、はいはい、今はそんな冗談言ってる場合じゃないだろ、空気読め」


あまり周りには聞かれない方がいい話なので、人気の少ない屋上を選んだ。

結はお弁当を食べ、翔は購買で買ってきたサンドイッチを食べる。


「で、バスで別れた…それでそのあとはもうわかんないってこと?」

「あぁ、一応そんな感じだな」

「なんか変な事件に巻き込まれてないといいけど…」

「もし巻き込まれてたら…ぜってぇ俺のせいだ…」


翔は頭を抱え込む。

食事のスピードは恐ろしい程早く、もうサンドイッチを食べきっている。


「なんでよ、しょうがないじゃない、未来の方がちょっと遠いんだし…」

「でもバス停二つくらいの距離だ、暗くなってきてるのも知ってた…俺がついていれば…」


結はかなり落ち込む翔を見かねて食べるのをやめた。

はしを置き、弁当箱を閉めて自分の足元を見つめながら話し始めた。


「小田君が責任を感じることじゃないよ、それにまだ見つかってないだけでもしかしたら親戚とか友達の家にいる可能性もまだまだ充分にあるでしょ?」

「……」


沈黙。

しかし、世界は回り続けて、止まることを知らない。

冬とはいえ換気のために開けられた窓からは話し声や笑い声が聞こえる。

緊張感に包まれた二人とは関係なしに…

また、その緊張感が楽しげな人々をくっきりとみせる。


「とにかく俺は鈴谷の家の周辺行ってみようと思う」

「…そう…じゃぁ私も行く」

「じゃぁ前と同じみたいに下駄箱集合」


いつもはニコニコと明るい翔から、笑顔が消えていた。

教室では変わらず明るく振舞っているが未来のことをよほど気にしているようだ。


それを告げると翔は屋上から出て行ってしまった。


「…どうか未来が無事でありますように…」


結は冬の真っ青な空に祈った。

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