第十四話 行方
今回から時間軸がめちゃくちゃになります。
―(ダッシュ)の後に時間を書いています。
未来が拐われたのとほぼ同時刻。
――12月20日18時過ぎ頃
未来の母、美紀は職場のレストランから帰宅する途中。
夫、雅人が殺された後も雅人の弟大雅と共に経営している。
お客は夜から増えるのだが、週の平日の何度か夜は早く帰らせてもらっていて、今日はその日だ。
そんな日は、いつも一人にさせてしまっている未来に夕食を作ってあげる。
それが美紀の楽しみでもあった。
今日は何の料理にしようか……そう思ってバス停のある公園を通り過ぎ……
黒い車とすれ違う。
後部座席の窓は黒いフィルムが貼り付けてある、まさに真っ黒の車。
公園を通り過ぎれば家まであと少し。
車を駐車し、玄関のドアを引く。
ガチャッ
「あれ…?」
美紀が早く帰ってくる日は基本、未来は鍵を閉めない。
いつもとは違う状況に、少し不安になる。
――ピンポーン
インターホンを押しても反応はない。
美紀は更に不安になる。
いや、もしかしたら寝ようと思って鍵をかけてそのまま起きてこないのかもしれない。
そう思い、鞄の中から鍵を取り出し、ドアを開ける。
「ただいまー」
家の中は真っ暗。
返事はない。
「未来ー?」
やはり返事はない。
電気をつけると、玄関に未来の靴がないことに気づく。
「まだ帰ってない……?」
靴を揃えず脱ぎっぱなしにして、携帯で未来へかけると同時に家中を探し回る。
「未来…どこ…?」
トイレ、お風呂場、キッチン、リビング、未来の部屋からベッドの下まで家中を探した。
けれど見つからない。
電話も通じない。
彼女にとって、世界で一番大切な宝物が、いなくなってしまった。
「…結ちゃんなら知ってるかも……」
今度は家の電話から結の家へかける。
小学校からの知り合いだから、結は未来のことをよく知っている。
もちろん親である美紀のこともだ。
「もしもし鈴谷なんですけど…」
『あ、美紀おばさんですか?』
「そうなんだけど……未来が帰ってないの…結ちゃんなら知ってるかと思って」
『え…帰ってないんですか?』
結の返答に少し焦りが交じる。
「そう…携帯にもでなくて…」
『私は一緒に帰ってないので…小田君と帰ったと思います』
「・・・ありがとう、何かあったらまた連絡くれませんか?」
『はい、わかりました』
ゆっくりと受話器を置く。
「小田君…?」
どこかできいたことある名だ。
もしかして…未来が風邪ひいた時にお見舞いに来てくれたと言っていた子だろうか?
――同日18時頃 小田家。
二階の自室でごろごろと過ごす翔。
階段の下から姉の叫ぶ声がする。
「翔ー、電話ーっ」
「電話? 誰から?」
ドア越しなため姉にはきっと聞こえていないが、
一人でつぶやき階段を降りていく。
「鈴谷さん、同級生?」
「鈴谷…? どうして鈴谷が…?」
翔は受話器を受け取る。
「もしもし? 今変わりました、」
『えっと…鈴谷未来の母なのです…翔くんですか?』
「あ、はい」
未来からの電話かと思い少し緊張していたのだが、
母と聞いて更に緊張した。
『未来がいないんです…どこにいるか知っていますか?』
「え?」
『未来が帰ってなくて…』
――どういうことだ?




