第十三話 誘拐
「素直に従ってくれてありがとう、感謝するよ…っ!」
蒼真はポケットの中に隠しもっていたスタンガンを、未来の体に押しあてて電気を流した。
「っ…!?」
未来は気を失い、膝から崩れ落ちる前に蒼真が抱き受ける。
そのままお姫様抱っこの形で抱き上げ、公園の外に停めた車の後部座席に乗せた。
自分は運転席に乗り、未来の鞄を漁る。
もちろん、指紋がつかぬよう、手袋をはめた状態だ。
「これはもういらないよねー…」
携帯を手に取り、窓から地面に投げつけた。
完全に壊れたことを確認すると、車は発信した。
未来が目をさますとコンクリートに囲まれた部屋の中のベッドの上で寝ていた。
しかし、身動きをとることは出来ず、ベッドにロープで縛り付けられているようだ。
また、口をガムテープで塞がれている。
身動きをとろうと必死にもがいているとベッドの軋む音に気付いたのか、奥の部屋から蒼真が現れた。
「おはよう、目覚めはどう?」
爽やかな微笑み。
縛られていなければどんなに幸せな状況だろうか?
「なんて意地悪かぁー…そうだなぁー…」
必死に暴れるが簡単にほどけそうにない。
「あ、ほどいてほしいの?」
未来は頷く。
「じゃぁまず、君が誘拐されたっていうのはわかるよね?」
また頷く。
「そっか、では、俺のルールに従ってもらおうか。
難しくないからさ、」
にっこり微笑む。
本当に美形な青年である。
「まず俺の言うことに従う。従ってくれれば暴力とかふるわないし、でも従わなかったら死んでもらうよ?」
一瞬で冷たい表情に変わる。
美しい顔の造形を保ちながら。
未来は怯えながら頷く。
「あ、そんなに怖がらないでよ、僕の夢を叶えるのに協力して欲しいんだ。ただそれだけ」
そう言うと微笑んで口のガムテープだけはがした。
「あ、そうだ君の正体が知りたい。生徒手帳はどこ? 鞄の中には入ってなかったみたいだからさ」
「制服のポケットです…」
「ありがとう、ちょっと失礼…」
紐はほどかれていないため、蒼真がポケットを探る。
「お、あったあったー」
未来は父親と同じように、殺されることを覚悟した。
「鈴谷…未来…?」




