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お世辞どうもありがとう

「どういうことだ?」


確かに壁にはさっき投げて突き刺さった【鉄のナイフ】がある。ここであったことはカンナは消えると言っていた。つまり、エリアが解除されていないということになる。そうなると、新しい敵か?


「嬉しいことじゃないですか」


カンナが明るい表情で話しかけてくる。


「どこが嬉しいんだよ」

「まだ解除されていないということは、和也さんが生きているといことです。だってアラームは鳴りませんでしたよね」


言われればそうだ。いつもアラームが鳴ったら和也やスキンヘッドがいたんだ。


「でもよ、スキンヘッドは殺したって言ったじゃん」

「嘘ですよ。純情ですね~」

「うるせっ、それじゃあどこにいるんだよ」

「それは私にも分かりません」


つまり、地道に探せということか。僕はため息をした。



∇▲∇▲∇



三十分探した。


なんと、和也は俯せにスキンヘッドを倒した逆方向の場所の道の真ん中に倒れていたのだ。


「おぉ~、来てくれたかぁ。早くこの馬鹿を起こしてやってくれぇ」


呆れたトクの声が和也の後ろポケットから聞こえる。


僕は和也の横に座り、後ろポケットから携帯を取り出すとトクが前にもまして疲れた表情だった。


「トクさん、なにがあったんですか?」


僕が和也の携帯に向かって話す。


「ただぁ、俺が赤いゲージについて話したらこうなったぁ。つうかぁ、こいつ方向音痴なんだよぉ」


だから全く逆の方向に来ていたのか。というか、どういことだ!?なんで倒れたんだ!?


「うぅ、死にたくない…」


和也の寝言かな。さっきまで格好良いと思っていた和也のイメージが崩壊したよ。


まぁ、今までどうしていたかはトクに聞いた。


和也は僕達と離れて僕達が見えなくなったとこでいきなり方向転換をして、トクは止めたのだが「こっちにこいと俺のソウルが言っている」とか変なことを言い始めて、移動してるときにトクが赤いゲージについて教えると和也はすぐに携帯で赤いゲージを見たんだって。そしたらもう無いように(厳密には少しだけある)見えて、驚きのあまり腰が抜けて倒れこんだと思ったら頭から地面に当たり、少しの間気絶していたという。


「この馬鹿野郎は放っといてさぁ、早く休みたいんだよねぇ。はやく友録して終わらせよう」


…友録?あれだよな、携帯のゲームやオンラインゲームで言う「ひと狩り行こうぜ!」みたいなことをする友達だよな。まぁゲームの中ではできてたよ。でも現実となると、というか和也に許可を貰ってないよ。


「そうですね。早くしてください奏太様」


と、カンナに言われても仕方がわからんし、良心が痛い。


「友録するためには、パッシブ【コミュ障】って言えば良いんですよ」


しょうがない。和也には悪いと思うが和也とは戦いたくないし、やるしかないな。


「分かった。パッシブ【コミュ障】」

「ぷぷぷ、本当に言っちゃいますか、純情ですね~。奏太様ならそのパッシブは最初から身に付いてますよ」

「………ふざけんなあぁ!」

「面白いですね奏太様」

「あのさぁ、漫才はいいからぁ早くしてよぉ」


僕はカンナに対する怒りを抑えつつ、他のアプリで得た知識を使って探すことにした。


まず、やっぱり一番可能性があるのはコミュニュケーションコマンドだろう。僕の予想は当たり、コミュニュケーションコマンドをタッチしたら三つの選択肢があり、友達登録とパーティー登録と家族登録があった。


このなかの友達登録をタッチしてみると、少しだけnow

Loadingとなったあと千寿和也とでてきた。僕の予想だが、この友達登録は近くでないとできないと思う。僕は千寿和也の選択肢を押した。


「それじゃあねぇ、また会ったらよろしくぅ」


そう言ってトクと和也は消えていった。すぐに僕の視界も歪み始める。気持ち悪くなり目を閉じた。


目を開けると部屋の中にいた。


「奏太様、驚きましたか?エリアが解除されると時間も戻ります。だから私達はアラームが鳴った時に戻っています」


携帯の時計を見てみると七時半近くになっていた。たぶんこのぐらいの時間にアラームが鳴ったと思う。


「明日は行ってみるか…」


少しだけだが気分が良かった。あのスキンヘッドの男が本当に死んだのかは分からないが、あいつは普通の人生でも悪いことをしていたと思う。まるでなにかのヒーローになった気分だ。


「どこに行くんですか?」

「高校」


カンナは少しだけぽかーんと口を開けていたが、僕の言葉が理解できたのか、カンナは目をまんまるくして驚いた。


「奏太様が高校に!?」

「なにか悪いか?」

「いえ、全然。むしろとっても嬉しいです!だってこんな暗い陰湿な部屋で男と二人なんてたえられませんよ!」

「それは僕をけなしてるよな」

「はい!そうです!」

「良い返事だ」


僕は精神的に追い詰められて、携帯を机の上に置くとなにも喋らず伸びてしまったカップラーメンをすすっていった。


食べ終わったらそのままベッドにダイブした。


このまま寝て、起きたら全て夢おちでしたっていうことにはなってくれないかな~、とか思いながら僕は瞼を閉じた。


「あ、でも。奏太様は顔面偏差値は高い方だと思いますよ!」

「お世辞どうもありがとう」

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