殺す
朝
君は死んだ
君の笑顔が消えた
君の声が消えた
君の魂が消えた
君を助けたかった
助けたかったから
違法を犯した
人体実験
数千本のプラグを君に繋いだ
電子を越えろ
君が消えていく
さぁ、成功か?
成功、大成功
君は死なない
何十年何百年たっても死なない
嬉しいね
君は何一つ記憶を持ってないけど
嬉しいね
一緒にいよう
こんな世界間違ってる
壊したい
が
できない
が
あいつが成功させた
人類の進歩
それがなせる
なんで隠す?
人類、世界のためにそれを使え
やらないなら
お前を殺してでも
してやる
∇▲∇▲∇
「おい、大丈夫か?」
「あ、すみません奏太様」
カンナの様子が少しだがおかしかった。顔の表情が固まり何かに怯えているようだった。
「ちゃんと探してるんですか?」
カンナがいつもの明るい表情に変わる。そう、僕は走り出して五分経ったが人影が何処にもないのだ。
自分の家の近辺はくまなく探したし、車の近辺もくまなく探した。しかし、今だ会えないのだ。こうなると嫌な想像をしてしまう。例えば和也はすでに死んでしまい、スキンヘッドはここから脱出して僕だけがここに取り残されたという考えもできる。
「早くしてください~」
カンナに言われるが、僕もスタミナが尽きてきて走るスピードが遅くなってくる。
その後十分走った。さすがに疲れてきて膝に手を置いてしまう。
その時爆発音が聞こえた。
僕は膝から手を離し、爆発音のする方向へと向かった。
さほど離れてはいなかったのですぐに着いた。
「遅かったな、さっきの奴はさっきので殺してやったぜ」
スキンヘッドのその言葉を聞いた瞬間
頭が痛くなり、
吐き気がして、
胸が苦しくなった。
この感覚は前にも…
∇▲∇▲∇
「なんであんなことをしたんですか?先生」
「確か君は…。奏太くんだったな」
「はい、そうです」
「しょうがないことなんだよ」
「生徒を軟禁するのがしょうがないことなんですか?」
「軟禁って、難しい言葉を知ってるんだね」
「高一です、知ってて当たり前です」
「というか、校舎裏に呼び出すっておかしくない?」
「僕にだけでもいいので真実を教えてください」
「探偵にでもなったつもりかい?そういう偽善者野郎が苛つくんだよ」
「グハッ!」
「黙ってるんだよ」
∇▲∇▲∇
そう、あの時だ。僕が不登校になった理由の時のことだ。
そうか、僕は今こいつに対して怒りを持っているのか。
「殺す」
「ガキがなに言ってんだ!」
僕はスキンヘッドの男に向かって走る。
「武器【鉄の短剣】パッシブ【ランナウェイ】」
前にあったことを思い出してみると、分かることがある。このモビフォンはマイク機能を持っている。
僕は【鉄の短剣】をスキンヘッドの頭に向かって投げる。スキンヘッドは頭を横に動かし避け、【鉄の短剣】が壁に突き刺さるが、僕はその少しの間に【ランナウェイ】のおかげでスキンヘッドの懐にはいれる。
すぐにスキンヘッドの携帯を持った手を蹴る。携帯はスキンヘッドの手から離れ、空を舞う。
「武器【鉄の短剣】」
僕は鉄の短剣を投げて携帯に当てる。すると携帯に当たり、火花をあげながら壊れた。
こうすればスキンヘッドはなにもすることができない。
「終わりだ」
「待ってくれ、頼む!」
「知るか」
僕は地面に転がった携帯から【鉄の短剣】を抜き、ゆっくりとスキンヘッドに近づいた。
スキンヘッドは怯えながら後退するが背中に壁があたり、逃げられなくなった。
僕はスキンヘッドの目の前に来ると、【鉄の短剣】をスキンヘッドの頭に向かって突き刺した。
【鉄の短剣】は壁に突き刺さった。
「これで終わるわけねぇだろ」
スキンヘッドはしゃがんで【鉄の短剣】を避けていたが、僕はすぐに膝でスキンヘッドの顎にあてる。
これで倒れると思っていたが、体をのけぞるだけだった。
確かここでは痛みが無いのか。僕はバックステップをしてスキンヘッドから距離をとる。
スキンヘッドは立ち上がると、目に怒りの炎をともしていた。
僕は携帯をポッケからとりだし、スキルの欄を見ていた。
その態度にスキンヘッドはどうやら切れて、僕の所へと走ってきた。
「これにしとこう【五月雨】」
僕はスキルの中の【五月雨】を使った、説明文では天から標的にした相手に無数のクナイが突き刺さるという。
僕は携帯から視線をそらし、スキンヘッドに視線を向ける。
その瞬間、風を切る音が聞こえるぐらいの早さで無数のクナイがスキンヘッドに突き刺さっていった。スキンヘッドは衝撃に耐えられず地面に倒れこむ。
吐き気がした。血はでていないが無数の刃物が人に突き刺さっていくのだ。
そして、最後のクナイが刺さった瞬間スキンヘッドは足から少しずつ消えていった。
終わった、確かにスキンヘッドは死んだはずなのに、それなのにまだエリアから抜け出せない。