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奏太様を優勝させると!

視界にうつるのはいつもの天井、いつもの蛍光灯だ。僕が目を覚ましたのは自分の部屋のベッドの上だった。


さっきまで釛がスキルを使って僕達の首を絞めていなかったか?あ、あれか夢落ちか。今までしてきたことは夢か、しかも悪夢だ。


「奏太様…」


やっぱり違うか…。手に持っていた携帯を顔の前に持ってくるが、いつものカンナの元気さが無い。


「どうかしたか?」


普通なら僕が寝てる間に何が起きたかを聞くはずなんだが、カンナが悲しそうな声を聞いたらそんな考えは頭のすみにいってしまった。


「奏太様が気を失った後、釛と言ってた男の人は私達を助けてくれたのです」


スルーをしてきたか。


「え、どうやって」


まぁ、話したくないことはあるかもしれないからな。


「奏太様と和也さんが気を失うと、和也さんと同じく友達登録をして、戦いを終わらせました。しかし、エリア指定が消えた瞬間友達登録は消されました」


意味が分からない。確かに戦っていたのは釛なんだが、僕達を殺す気でスキルを使っていたと思うと、最後には助けてくれる。まったく分からん。


「そして、その釛さんから奏太様に伝言があります」


僕は一つ深呼吸をしたあと「いいよ」と言った。


「オレはお前の敵、と理解しているが、殺してはいけないと本能が言う。とのことです」


全く分かんない。これがすぐ頭にでてきた言葉だ。


ということで、頭の悪い僕には考えていてもしょうがないので、次に会ったときに聞こうと思う。


「あ、そういえば和也は?」

「多分私達と同じように助かったと思います」


僕は安堵の息を漏らしながら「よかった」と言った。


「奏太様には、死んでほしくないんです」


突然カンナにそう言われた。


「お、おう」


としか言えなかった。


「でもよ、なんでプレイヤーはこんなゲームで人殺しなんてしようと思うんだ?」


最初から疑問に思っていたことだ。最初のスキンヘッドの男も本気で殺そうとしていた。そこまで戦う理由を教えてもらってない。


「言ってませんでしたっけ?」


首を少し傾けながら言った。


「言ってない」


僕はすぐさま断定すると、少し笑いながら「すみません」とカンナが言った。


「理由は優勝賞品です」

「賞品って、何がもらえるんだよ」

「選択肢が三つのあり、一つ選べます。一つ目はエリア指定がされなくてもこのアプリの能力を発動できます。二つ目はモビルフォンウォーズで死んでいった人を生き返らせます。三つ目は莫大な権力と富を得られます。といった三つですかね。ほとんどの人は一つ目か三つ目を選びますが、奏太様はどうするんですか?」


下心を全開にすれば三つ目なんだが、やはりここは二つ目か妥当だろう。


「二つ目だ」

「うわっ、つまんない答えですね奏太様。それで好感度をあげようと思ってるんですか?あーぁ、呆れます」


一番良い選択肢をしたはずなのになんでこんな風に言われなきゃならないんだよ。


「まぁ、奏太様らしいといえば奏太様らしい答えですね」

「らしい、ってどういうことだよ」

「ジョブを決めるとき質問がありましたよね。その質問の答えに正義感があります」

「無くないか?」


前に行った質問は全て自分が助かるように答えたはずなんだが…。


「質問は少しずつ自分の死に関わるように設定されてます。最初はふざけて奏太様は答えました。しかし、最後だけは真剣な表情で答えていたのが私の脳裏に焼きついてます」


たしか取り外せない爆弾が自分に巻きついているが、ハサミで線を切れば助かる。そして、近くにはハサミを持ってる人がいる。どう対処する?てきな質問だったよな。それで、僕が出した答えはハサミを投げてもらって、その人を逃がすだった。


「質問は同じ内容をアプリを持ってる全員にだされます。そして、その質問に多かった答えは助けてくれる事を懇願したり、正義感が溢れる人だったら逃がしてあげるというのもありましたね。あ、道連れにすると答えた人もいましたが奏太様は、ハッキリ言えばこの質問の答えに一番近い答えなんですよ。ジョブの【聖忍者】の【聖】は正解者に送られる特別な称号です。そして、聖は心が清い人という意味で使われます。だから…その時に決めたんです」


カンナが一つゆっくりと深呼吸をする。


「奏太様を優勝させると!」

「いまいちピンとこないな」

「えぇー、ひどくないですか!?せっかく良い気分で言えたのに~」


まぁ、することは決まったしな。つまり、このゲームに僕が負けて、悪者が優勝すると他の人が助からないかもしれないって訳だ。もう、これは本当のことだと釛からの攻撃で分かった。


しかし、分かんないことがある。なんで釛の首を絞める攻撃は痛かったんだ?


「あ、そうだ。聞いてなかったことがある」

「なんでしょうか」

「このゲームに参加した人数は?」

「モビフォンの参加者の人数は一万人です」

「お、多くないか」

「もちろん、始まって三日目ですから人数が減っているので、八千人ぐらいになってますね」


三日目という言葉に疑問をもって携帯の時計を見ると、朝の八時になっていた。つまり、昨日はずっと寝ていたって訳か。


「でも、三日目で二千人は減りすぎじゃないか?」

「日本だけで行われてるゲームですから賞品目当てに動き回ってる人もいると思いますよ」


そういや開催地も初耳だ。


まぁ、今は絶賛自宅謹慎中だからやることは一つ。このゲームを進ませることだ。


「えっと、奏太様?なんで和也さんの友達登録を消すんですか?」

「消せるんだったら消しとく。もともと僕と友達じゃないしね」

「でも、残すぐらいなら良いじゃないですか」

「前にアプリを操ってて分かったことがある。それは友達登録をしてると追跡ができるってこと。だから居場所を知られないためにも消しとく。本当にこのゲームでは死ぬから、できるだけ知り合いとの縁は切っとく方がいいんだ」

「格好つけないでください」

「お見通しって訳か。本当はああいう人とは一緒にいたくない」


そこまで言い終わると僕は制服のまま、外にでていった。

ようやく主人公が真面目に自分の力で戦うことができるようになった。(少し無理矢理な気がするが)

これから主人公がチート!てな訳にはなりませんが、特殊な能力とかには目覚めます。

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